(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平5−79205
(43)【公開日】平成5年(1993)3月30日
(54)【発明の名称】立体駐車装置
(51)【国際特許分類第5版】
E04H 6/06 D 9024-2E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平3−270121
(22)【出願日】平成3年(1991)9月22日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 構成点数が少なく、簡単な構成で、かつ小さいスペースに設置可能な立体駐車装置を提供する。
【構成】 車両載置用の可動床1の端部側に角形鋼管の中にコンクリート等を詰めて補強した支柱等よりなる角形支柱2を立設して該可動床1を水平状態に保持し、かつ該可動床1を該角形支柱2に沿って上下動させる立体駐車装置であって、該角形支柱2を該可動床1に対して45°の角度で配置すると共に、該角形支柱2の該前側角部13と後側角部14をそれぞれ該可動床1に直接または間接的に設けられているガイドローラーによって挟持し、かつ該後側角部14を挟持するガイドローラーの位置を該前側角部13を挟持するガイドローラーの位置より上方側に位置するように配置した構成よりなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両載置用の可動床の端部側に角形鋼管の中にコンクリート等を詰めて補強した支柱等よりなる角形支柱を立設して該可動床を水平状態に保持し、かつ該可動床を該角形支柱に沿って上下動させる立体駐車装置であって、該角形支柱を該可動床に対して45°の角度で配置すると共に、該角形支柱の該前側角部と後側角部をそれぞれ該可動床に直接または間接的に設けられているガイドローラーによって挟持し、かつ該後側角部を挟持するガイドローラーの位置を該前側角部を挟持するガイドローラーの位置より上方側に位置するように配置したことを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】 支柱上方部位にウィンチを設け、該ウィンチによりチェーンまたはロープを介して可動床を吊持し、該ウィンチと、角形支柱の前後角部を挟持する前後のガイドローラーの三点によって、該可動床を保持すると共に、上下動させ得るようにしている請求項1に記載の立体駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、立体駐車装置に係り、より詳細には、構成点数が少なく、簡単な構成で、かつ小さいスペースに設置可能な立体駐車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二段、三段式の簡易な立体駐車装置としては、種々のものがあるが、一般的には、『車両載置用可動床の四隅部に支柱を立設して、該可動床を支柱により水平状態に保持させると共に、該可動床にチェーンを固定して、該チェーンを支柱上部に設けた滑車を介し、該支柱に沿って上下動させるようにした構成』よりなる。
【0003】そして、この立体駐車装置は、車両載置用可動床に車両を載置した後、該可動床を吊持するチェーンを滑車を介して駆動させて上下動させ、所定位置に到達すると該上下動を停止させることで、該可動床と床面との複数床に駐車させ得るように作用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の立体駐車装置の場合、次のような問題がある。すなわち、
■ 車両載置用可動床の四隅部に支柱を設けた構成となるので、設置スペースが必然的に広くなり、狭いスペースでの設置が難しく、かつ駐車入口が狭くなるので、該可動床への駐車が難しい。
■ 構成点数が多く、その構造が複雑となり、製造コストが高くなると共に、メンテナンスに手数を要する。
等の問題を有する。
【0005】そこで、本発明者は、このような点に鑑み、車両載置用可動床を少ない支柱で保持できる形態を採用できないかという観点に立脚し、種々、研究・試験した処、支柱として角形鋼管の中にコンクリート等を詰めて補強した支柱等の角形支柱を用いると共に、該角形支柱の前後角部を利用することで、前記可動床を少ない支柱で水平保持・上下動自在ができることを究明した。
【0006】本発明は、上述した点に対処して創案したものであって、その目的とする処は、構成点数が少なく、簡単な構成で、かつ小さいスペースに設置可能な立体駐車装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成するための手段としての本発明の立体駐車装置は、車両載置用の可動床の端部側に角形鋼管の中にコンクリート等を詰めて補強した支柱等よりなる角形支柱を立設して該可動床を水平状態に保持し、かつ該可動床を該角形支柱に沿って上下動させる立体駐車装置であって、該角形支柱を該可動床に対して45°の角度で配置すると共に、該角形支柱の該前側角部と後側角部をそれぞれ該可動床に直接または間接的に設けられているガイドローラーによって挟持し、かつ該後側角部を挟持するガイドローラーの位置を該前側角部を挟持するガイドローラーの位置より上方側に位置するように配置した構成よりなる。
【0008】また、本発明の他の立体駐車装置は、上記構成において、角形支柱の上方部位にウィンチを設け、該ウィンチによりチェーンまたはロープを介して可動床を吊持し、該ウィンチと、前記角形支柱の前後角部を挟持する前後のガイドローラーの三点によって、該可動床を保持すると共に、上下動させ得るようにした構成よりなる。
【0009】
【作用】本発明の立体駐車装置は、通常の駐車装置と同様に、可動床を床面に下動させた状態で、該可動床に車両を載置し、再び、上動させた後、該床面に車両を駐車できる。そして、該可動床は、角形支柱の前側角部と後側角部とをガイドローラーで挟持することで水平状態を保持するようにしているので、駐車装置自体の構成が簡単となると共に、その構成部品を少なくできるように作用する。
【0010】また、角形支柱の前側角部と後側角部とをそれぞれ挟持し、該角形支柱の対角線上の角部を前後方向より挟持する前後のガイドローラーの位置を、後側ガイドローラーの位置が前側ガイドローラーの位置より上方側に位置するようにして、可動床を保持するようにしているので、該可動床の水平状態を一層安定させ得るように作用する。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、図1〜図6は、本発明の一実施例を示し、図1は平面図、図2は可動床を上げた状態の側面図、図3は可動床保持部の部分拡大断面図、図4は図3のA方向よりのローラー保持枠の正面図、図5は図3のB方向よりのローラー保持枠の正面図、図6は振止の正面図と側面図である。
【0012】本実施例の立体駐車装置は、二段式の駐車装置であって、概略すると、車両載置用可動床1と、角形支柱2、および可動床駆動部3の三つの部分より構成されていて、車両載置可動床1を、その側端中央に添設・立設された角形支柱2に水平状態に片持保持し、可動床駆動部3を介して上下動させ得るように構成されている。
【0013】車両載置用可動床1は、可動台(可動枠)4の側端中央部で支柱2と係合する可動床保持部5を有し、また上面に車両の車輪を載せる二条の車輪載置台6を有している。可動枠4は鋼材よりなるフレームで形成され、車輪載置台6を固定・保持する構成である。可動床保持部5は、前後の可動枠4の端部間を車輪載置台6に平行に繋ぐ連結材4a,4bと、ローラー保持枠9とより構成され、ローラー保持枠9にはガイドローラー7,7、8,8が設けられ、角形支柱2と係合するように構成されている。ローラー保持枠9は、角形支柱2の周囲を被嵌し、かつ上下動自在の角形筒体よりなる枠体で形成され、該枠体の可動台4側に前側ガイドローラー7,7を、逆方向に後側ガイドローラー8,8を備えている。
【0014】また、ローラー保持枠9の内側で、該ローラー7,7、8,8の設けられていない角部分には振止10、10・・が設けられている。特に、それぞれローラー7,7または8,8と同一平面上の逆側の角部分に設けられている。これによって、ローラー7、8の設けられていない箇所でのクリアランスの存在による振れを防止するようにしている。また、ローラー保持部5には可動床駆動部3を構成するチェーン(ワイヤー、ロープを含む)11を取り付けるための係合部12を備えている。ここで、ガイドローラー7,7、8,8としては、ベアリング16を用いている。しかし、他の構成のローラーを用いてもよい。
【0015】角形支柱2は、内部にコンクリートを充填した一本の角形鋼管で形成され、車両載置用可動床1の可動台(可動枠)4の側端中央で、かつローラー保持枠9の内側に立設されている。すなわち、車両載置用可動床1の端部に対して角形支柱2を45°の角度に配置されている。ここで、角形支柱2の前側角部12は、可動床保持部5の前側ガイドローラー7、7で左右より挟持され、また後側角部13は後側ガイドローラー8、8で左右より挟持されている。そして、両ガイドローラー7,7、8,8が両角部13、14に沿って、可動床駆動部3の駆動によって上下動でき、ローラー保持枠9を介して車両載置用可動床1を上下動できるように構成されている。
【0016】可動床駆動部3は、ウィンチ15と巻き上げ用のチェーン11により形成されていて、ウィンチ4を駆動させることにより、チェーン11を介して、可動床1を上下動させ得るように構成されている。ここで、ウィンチ15は、ローラー保持枠10の上部に固定した状態としているが、これは、支柱の上部に設けた構成、あるいは床上等に設置した構成としてもよい。
【0017】本実施例の二段式駐車装置は、角形支柱2を基礎にアンカーボルトで固定し、あるいは建築物に固定物がある場合は、該固定物に固定することで設置することができる。そして、その使用方法は、可動床駆動部3のウィンチ15を駆動させることにより、可動床1のローラー保持枠9に設けられ、かつ角形支柱2の前側角部13と後側角部14に上下動自在に嵌合する前側ガイドローラー7,7と後側ガイドローラー8,8が床面17まで下動させた状態で、可動床1に車両を載置し、再び上動させた後、空所となった床面17に車両を駐車できる。
【0018】ここで、可動床1は、角形支柱2の前側角部13と後側角部14とに、それぞれガイドローラー7,7、8,8を配する(当接挟持配置)することで水平状態を保持するようにしているので、駐車装置自体の構成が簡単となると共に、その構成部品を少なくできる。また、角形支柱2の前側角部13と後側角部14とにそれぞれ嵌合して角形支柱2の対角線上の角部を前後方向より挟持する前後のガイドローラー7,7、8,8の位置を、後側ガイドローラー8,8の位置が前側ガイドローラー7,7の位置より上方側に位置するようにして、可動床1を保持するようにしているので、可動床1の水平状態を一層安定させ得るように作用する。
【0019】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できるものを含む。因みに、前述した実施例においては、車両駐車用可動床を一個有する二段式駐車装置として説明したが、該可動床を複数個設け、三段以上の立体駐車装置とすることもできる。また支柱は、一本の形態に限られるものでなく、複数本、例えば、可動床の側端両角隅部にそれぞれ設置するようにした構成、可動床の左右に設置した構成としてもよい。また、前述した実施例では、角形支柱として、内部にコンクリートを充填した角形鋼管で説明したが、他の構成、例えば、コンクリート角材、周囲が窪んだ異形断面鋼管(クローバー状等)等を用いた構成としてもよい。
【0020】また、前述した実施例においては、可動床保持部5を構成する連結材4a,4bを、車輪載置台に平行に設けた構成で説明したが、図7〜図9に示すようにしてもよい。すなわち、連結材4a,4bを可動枠5に対して斜め方向に配し、強度を一層持たせる構成としてもよい。また、図10に示すように、ウィンチを支柱の上部に固定した構成としてもよい。なお、本発明の構成の変形例として、角形支柱を45°傾けた構成とすることなく、可動床と対向する面が平行に向く構成とすることもできる(図11参照)。
【0021】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の立体駐車装置によれば、可動床が角形鋼管等よりなる角形支柱の前側角部と後側角部とをそれぞれガイドローラーで挟持されることで水平状態を保持するようにしているので、駐車装置自体の構成が簡単となると共に、その構成部品を少なくできるという効果を有する。
【0022】また、本発明の立体駐車装置によれば、角形支柱の対角線上の前後の角部を前後方向より挟持する前後のガイドローラーの位置を、後側ガイドローラーの位置が前側ガイドローラーの位置より上方側に位置するようにして、可動床を保持するようにしているので、該可動床の水平状態を一層安定させ得るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す平面図である。
【図2】 可動床を上げた状態の側面図である。
【図3】 可動床保持部の部分拡大断面図である。
【図4】 図3のA方向よりのローラー保持枠の正面図である。
【図5】 図3のB方向よりのローラー保持枠の正面図である。
【図6】 振止を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】 他の実施例の平面図である。
【図8】 図6の可動床部分の正面図である。
【図9】 図6の可動床部分の側面図である。
【図10】 更に他の実施例の正面図である。
【図11】 本発明の変形例の平面図である。
【符号の説明】
1・・・車両載置用可動床、2・・・角形支柱、3・・・可動床駆動部、4・・・可動台(可動枠)、4a,4b・・・連結材、5・・・可動床保持部、6・・・車輪載置台、7・・・前側ガイドローラー、8・・・後側ガイドローラー、9・・・ローラー保持枠、10・・・振止、11・・・チェーン、12・・・係合部、13・・・前側角部、14・・・後側角部、15・・・ウィンチ、16・・・ベアリング、17・・・床面
【図1】

【図2】

【図4】

【図5】

【図6】

【図9】

【図3】

【図7】

【図8】

【図10】

【図11】
