(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平5−239942
(43)【公開日】平成5年(1993)9月17日
(54)【発明の名称】立体駐車装置の安全装置
(51)【国際特許分類第5版】
E04H 6/06 D 9024-2E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平4−79291
(22)【出願日】平成4年(1992)2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町一丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 車両載置用の可動床の稼働操作の安全性を一層向上させ得るようにした立体駐車装置の安全装置を提供する。
【構成】 車両載置用可動床1の隅部または端部に支柱を立設して、該可動床1を支柱に連結体を介して保持させると共に、該可動床1にチェーン等の連結具を固定して、該連結具を支柱上部に設けた滑車またはウィンチを介し、該支柱に沿って上下動させるようにした駐車装置において、該支柱にフックを設けると共に、前記連結体に該フックと係合するフック掛けを設け、また該フックにフック操作用レバーを設け、かつ該フック操作用レバーに駐車装置稼働スイッチを設けた構成よりなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両載置用可動床の隅部または端部に支柱を立設して、該可動床を支柱に連結体を介して保持させると共に、該可動床にチェーン等の連結具を固定して、該連結具を支柱上部に設けた滑車またはウィンチを介し、該支柱に沿って上下動させるようにした駐車装置において、該支柱にフックを設けると共に、前記連結体に該フックと係合するフック掛けを設け、また該フックにフック操作用レバーを設け、かつ該フック操作用レバーに駐車装置稼働スイッチを設けたことを特徴とする立体駐車装置の安全装置。
【請求項2】 フック操作用レバーを支柱方向に引押自在とし、該フック操作用レバーを引いた状態で、車両載置用可動床を上下動操作用電源が投入されるようにした請求項1に記載の立体駐車装置の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、立体駐車装置の安全装置に係り、より詳細には、車両載置用の可動床の稼働操作の安全性を一層向上させ得るようにした立体駐車装置の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二段、三段式の簡易な立体駐車装置としては、種々のものがあり、『車両載置用可動床の隅部または端部に支柱を立設して、該可動床を支柱により水平状態に保持させると共に、該可動床にチェーンブロックを固定して、該チェーンブロックを支柱上部に設けた滑車を介し、該支柱に沿って上下動させるようにした構成』よりなる。
【0003】そして、この立体駐車装置は、車両載置用可動床に車両を載置した後、可動床稼働スイッチを操作することで該可動床を吊持するチェーンブロックを滑車を介して駆動させて上下動させ、所定位置に到達すると該上下動を停止させることで、該可動床と床面との複数床に駐車させ得るようにしている。
【0004】ところで、この種の立体駐車装置は、車両を載せた可動床を上下動させるようにしているので、種々の安全装置を備えている。そして、一般的には、フックとフック掛けとによる係合具で、支柱と可動床とを係合させ、該係合状態を解除しなければ、該可動床の上下動操作ができない構成とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した立体駐車装置における安全装置の場合、『フックとフック掛けとによる係合具で、支柱と可動床とを係合させた構成』であるので、充分な安全性が担保できるものの、その解除に手数を要すると共に、駐車装置稼働スイッチを別途操作する必要があることより、操作性に難があるという問題がある。
【0006】本発明は、このような問題点に対処して創作したものであって、その目的とする処は、簡単な構成で、安全性と操作性との双方を兼ね備えた立体駐車装置の安全装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成するための手段としての本発明の立体駐車装置の安全装置は、車両載置用可動床の隅部または端部に支柱を立設して、該可動床を支柱に連結体を介して保持させると共に、該可動床にチェーンブロック等の連結具を固定して、該連結具を支柱上部に設けた滑車またはウィンチを介し、該支柱に沿って上下動させるようにした駐車装置において、該支柱にフックを設けると共に、前記連結体に該フックと係合するフック掛けを設け、また該フックにフック操作用レバーを設け、かつ該フック操作用レバーに駐車装置稼働スイッチを設けた構成よりなる。
【0008】また、本発明の他の立体駐車装置の安全装置は、前記発明において、フック操作用レバーを支柱方向に引押自在とし、該フック操作用レバーを引いた状態で、車両載置用可動床を上下動操作用電源が投入されるようにした構成よりなる。
【0009】
【作用】本発明の立体駐車装置の安全装置は、可動床と支柱とを連結し、該可動床を支柱に沿って上下動させる連結体に設けたフック掛けと係合するフックに設けたフック操作用レバーに駐車装置稼働スイッチが設けられているので、該フック操作用レバーを操作することで、フックがフック掛けより解除でき、該解除後、該駐車装置稼働スイッチを操作することで、駐車装置を稼働を開始でき、その安全性を担保しながら操作性を向上できるように作用する。
【0010】また、フック操作用レバーを支柱方向に引押自在とし、該フック操作用レバーを引いた状態で、車両載置用可動床を上下動操作用電源が投入されるようにした構成の場合、フック操作用レバーを引かない限り、該上下動操作用電源が投入されないので、仮に、該駐車装置稼働スイッチを操作しても、車両載置用可動床が上下動しないという二重の安全性を担保できるように作用する。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、図1〜図8は、本発明の一実施例を示し、図1は本発明の一実施例の側面図、図2は可動床を下げた状態の側面図、図3は安全装置部の拡大図、図4は可動床保持部の部分拡大断面図、図5は平面図、図6は図3のA方向よりのローラー保持枠の正面図、図7は図3のB方向よりのローラー保持枠の正面図、図8は振止の正面図と側面図である。
【0012】本実施例の立体駐車装置は、二段式の駐車装置であって、概略すると、車両載置用可動床1と、角形支柱2、および可動床駆動部3の三つの部分より構成されていて、車両載置可動床1を、その側端中央に添設・立設された角形支柱2に水平状態に片持保持し、可動床駆動部3を介して上下動させ得るように構成されている。
【0013】車両載置用可動床1は、可動台(可動枠)4の側端中央部で支柱2と係合する可動床保持部5を有し、また上面に車両の車輪を載せる二条の車輪載置台6を有している。可動枠4は鋼材よりなるフレームで形成され、車輪載置台6を固定・保持する構成である。可動床保持部5は、前後の可動枠4の端部間を車輪載置台6に平行に繋ぐ連結材4a,4bと、ローラー保持枠10とより構成され、ローラー保持枠10にはガイドローラー8,8、9,9が設けられ、角形支柱2と係合するように構成されている。ローラー保持枠10は、角形支柱2の周囲を被嵌し、かつ上下動自在の角形筒体よりなる枠体で形成され、該枠体の可動台4側に前側ガイドローラー8,8を、逆方向に後側ガイドローラー9,9を備えている。また、可動床保持部(連結体)5には、フック掛け19が設けられ、角形支柱2に設けられたフック20とで安全装置部を形成している。フック掛け19は、フック20と係合できる形態に形成され、可動床保持部(連結体)5の上部位置に設けられている。
【0014】また、ローラー保持枠10の内側で、該ローラー8,8、9,9の設けられていない角部分には振止23、23・・が設けられている。特に、それぞれローラー8,8または9,9と同一平面上の逆側の角部分に設けられている。これによって、ローラー8、9の設けられていない箇所でのクリアランスの存在による振れを防止するようにしている。また、ローラー保持部5には可動床駆動部3を構成するチェーンブロック11を取り付けるためのフックよりなる係合部12を備えている。ここで、ガイドローラー8,8、9,9としては、ベアリング16を用いている。しかし、他の構成のローラーを用いてもよい。
【0015】角形支柱2は、内部にコンクリートを充填した一本の角形鋼管で形成され、車両載置用可動床1の可動台(可動枠)4の側端中央で、かつローラー保持枠9の内側に立設されている。すなわち、車両載置用可動床1の端部に対して角形支柱2を45°の角度に配置されている。ここで、角形支柱2の前側角部12は、可動床保持部5の前側ガイドローラー8、8で左右より挟持され、また後側角部13は後側ガイドローラー9、9で左右より挟持されている。そして、両ガイドローラー8,8、9,9が両角部13、14に沿って、可動床駆動部3の駆動によって上下動でき、ローラー保持枠10を介して車両載置用可動床1を上下動できるように構成されている。また、角形支柱2の上部位置には、フック掛け19と係合するフック20が設けられている。フック20とフック掛け19とは、可動床1を上動位置で係合できるように配置されている。また、フック20にはフック操作レバー21が設けられ、該フック操作レバー21の下端部に駐車装置稼働スイッチ22が設けられている。
【0016】可動床駆動部3は、ウィンチ15と巻き上げ用のチェーンブロック11により形成されていて、ウィンチ15を駆動させることにより、チェーンブロック11を介して、可動床1を上下動させ得るように構成されている。そして、チェーンブロック11は、蛇腹状筒体18で被覆されている。ここで、チェーンブロック11の単位ブロックの長さと、蛇腹状筒体18のピッチとを同一若しくは近似長さとしている。この構成とすることにより、蛇腹状筒体18のチェーンブロック11に対する追随性を良好にできる。
【0017】また、角形支柱2は、補強金物24を介して基礎25で固定されていて、基礎25は、図9に示すように、補強金物24を左右に任意にスライドさせ、これに基礎を形成させる構成としている。そして、この構成とすることで、駐車装置を設置する箇所の地下に浄化槽等の障害物がある場合に対処することができる。また、必要に応じて、図10に示すように、支柱1に対して、V形の補強金物24を配し、これに基礎25を形成させる構成としてもよい。
【0018】本実施例の立体駐車装置は、可動床1が下動位置(床面17)にある場合、該可動床1に車両を駐車した後、フック操作レバー21に設けられている駐車装置稼働スイッチ22を操作することで、可動床駆動部3のウィンチ15を駆動させると、チェーンブロック11で可動床1が保持されながら、可動床1のローラー保持枠10に設けられ、かつ角形支柱2の前側角部13と後側角部14に上下動自在に嵌合する前側ガイドローラー8,8と後側ガイドローラー9,9により上動し、所定位置に達すると、フック操作レバー21を押して、フック19をフック掛け20に引っ掛けることで、該フック19とフック掛け20による安全装置が働く。
【0019】次に、可動床1を下動させて、車両を降ろす場合は、フック操作レバー21を引くことにより、可動床駆動部3の電源が投入され、かつフック19とフック掛け20による安全装置を解除し、更に、フック操作レバー21に設けられている駐車装置稼働スイッチ22を入れるという二重の安全装置を解除することで、可動床1が下動を開始し、前側ガイドローラー8,8と後側ガイドローラー9,9を介して床面17まで下動し、停止する。そして、車両を可動床1より取り出すことができる。
【0020】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できるものを含む。因みに、前述した実施例においては、車両駐車用可動床を一個有する二段式駐車装置として説明したが、該可動床を複数個設け、三段以上駐車装置とすることもできる。また支柱は、一本の形態に限られるものでなく、複数本、例えば、可動床の側端両角隅部にそれぞれ設置するようにした構成、可動床の左右に設置した構成としてもよい。また、前述した実施例では、角形支柱として、内部にコンクリートを充填した角形鋼管で説明したが、他の構成、例えば、コンクリート角材、周囲が窪んだ異形断面鋼管(クローバー状等)等を用いた構成としてもよい。
【0021】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の立体駐車装置によれば、可動床と支柱とを連結し、該可動床を支柱に沿って上下動させる連結体に設けたフック掛けと係合するフックに設けたフック操作用レバーに駐車装置稼働スイッチが設けられているので、該フック操作用レバーを引くことで、フックがフック掛けより解除でき、該解除後、該駐車装置稼働スイッチを操作することで、駐車装置を稼働を開始でき、その安全性を担保しながら操作性を向上できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の側面図である。
【図2】 可動床を下げた状態の側面図である。
【図3】 安全装置部の拡大図である。
【図4】 可動床保持部の部分拡大断面図である。
【図5】 本発明の一実施例を示す平面図である。
【図6】 図4のA方向よりのローラー保持枠の正面図である。
【図7】 図4のB方向よりのローラー保持枠の正面図である。
【図8】 振止を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】 基礎と補強金物の平面図である。
【図10】 基礎と補強金物の平面図である。
【符号の説明】
1・・・車両載置用可動床、2・・・角形支柱、3・・・可動床駆動部、4・・・可動台(可動枠)、4a,4b・・・連結材、5・・・可動床保持部、6・・・車輪載置台、8・・・前側ガイドローラー、9・・・後側ガイドローラー、10・・・ローラー保持枠、23・・・振止、11・・・チェーンブロック、12・・・係合部、13・・・前側角部、14・・・後側角部、15・・・ウィンチ、16・・・ベアリング、17・・・床面、18・・・蛇腹状筒体、19・・・フック、20・・・フック掛け、21・・・フック操作レバー、22・・・駐車装置稼働スイッチ、24・・・補強金物、25・・・基礎
【図1】

【図2】

【図3】

【図6】

【図4】

【図5】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】
