(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平7−18889
(43)【公開日】平成7年(1995)1月20日
(54)【発明の名称】立体駐車装置
(51)【国際特許分類第6版】
   E04H  6/06        C 7606-2E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】FD
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平5−189224
(22)【出願日】平成5年(1993)6月30日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文



(57)【要約】 (修正有)
【目的】 構成点数が少なく、種々の向きに、かつ小さいスペースで設置可能な立体駐車装置を提供する。
【構成】 車両載置用可動床1の周囲の任意の位置に一本の支柱1を立設して、該車両載置用可動床1を支柱2に連結材3を介して保持させると共に、該可動床2にチェーン等の連結具を固定して、該連結具を支柱2上部に設けた滑車またはウィンチを介し、該支柱2に沿って上下動させる駐車装置であって、上記車両載置用可動床1の重心位置と該支柱2を上記連結体で連結してなる構成よりなる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両載置用可動床の周囲の任意の位置に一本の支柱を立設して、該車両載置用可動床を支柱に連結材を介して保持させると共に、該可動床にチェーン等の連結具を固定して、該連結具を支柱上部に設けた滑車またはウィンチを介し、該支柱に沿って上下動させる駐車装置であって、上記車両載置用可動床の重心位置と該支柱を上記連結体で連結してなることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】 一本の支柱を車両載置用可動床の側後部に立設し、該車両載置用可動床の重心位置と該支柱を連結材で連結してなる請求項1に記載の立体駐車装置。



【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、立体駐車装置に係り、より詳細には、構成点数が少なく、種々の向きに、かつ小さいスペースで設置可能な立体駐車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二段、三段式の簡易な立体駐車装置としては、種々のものがあり、『車両載置用可動床の隅部または端部に支柱を立設して、該可動床を支柱により水平状態に保持させると共に、該可動床にチェーンブロックを固定して、該チェーンブロックを支柱上部に設けた滑車を介し、該支柱に沿って上下動させるようにした構成』よりなる。
【0003】そして、この立体駐車装置は、車両載置用可動床に車両を載置した後、可動床稼働スイッチを操作することで該可動床を吊持するチェーンブロックを滑車を介して駆動させて上下動させ、所定位置に到達すると該上下動を停止させることで、該可動床と床面との複数床に駐車させ得るようにしている。
【0004】しかし、上述した立体駐車装置の場合、■車両載置用可動床の四隅部に支柱を設けた構成となるので、設置スペースが広くなり、狭いスペースでの設置が難しく、かつ駐車入口が狭くなり、該可動床への駐車が難しい。■構成点数が多く、その構造が複雑となり、製造コストが高くなると共に、メンテナンスに手数を要する。等の問題がある。
【0005】そこで、本発明者は、先に、『車両載置用可動床に対して、45°の角度で、該車両載置用可動床の側部に配置した一本の角型支柱で、該車両載置用可動床を昇降自在に保持し得る構成』よりなる立体駐車装置を提案した(特願平3−270121号明細書参照)。そして、この構成の立体駐車装置によれば、一本の支柱によって車両載置用可動床が保持できるので、構成点数を少なくすることができると共に、設置スペースを小さくできるという利点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した立体駐車装置の場合、車両載置用可動床の側部と支柱を連結枠、連結材を介して接続する構成であるため、その構造が複雑であり、かつ支柱の立設場所が車両載置用可動床の側部に限定せざるを得ない、等の課題が残ることが判明した。
【0007】そこで、本発明者は、以上のような課題に鑑み、種々・研究・試作した結果、支柱と車両載置用可動床を、該車両載置用可動床の重心位置に連結材の一端を固定し、他端を支柱に連結することで安定した状態で、該車両載置用可動床を支柱に沿って上下動できる立体駐車装置を得ることができることを究明した。
【0008】本発明は、上述したような観点に立脚して創案したものであって、その目的とする処は、構成点数が少なく、種々の向きに、かつ小さいスペースで設置可能な立体駐車装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成するための手段としての本発明の立体駐車装置は、車両載置用可動床の周囲の任意の位置に一本の支柱を立設して、該車両載置用可動床を支柱に連結材を介して保持させると共に、該可動床にチェーン等の連結具を固定して、該連結具を支柱上部に設けた滑車またはウィンチを介し、該支柱に沿って上下動させる駐車装置であって、上記車両載置用可動床の重心位置と該支柱を上記連結材で連結してなる構成としている。
【0010】また、本発明の他の立体駐車装置は、前記発明において、一本の支柱を車両載置用可動床の側後部に立設し、該車両載置用可動床の重心位置と該支柱を連結材で連結してなる構成としている。
【0011】
【作用】本発明の立体駐車装置は、一本の支柱でもって、車両載置用可動床を昇降・保持する駐車装置であって、該車両載置用可動床の重心位置と該支柱を上記連結材で連結しているので、安定した状態で、該車両載置用可動床を支柱に沿って上下動でき、また該支柱を任意の位置に立設することができる。従って、駐車する際に、該支柱が邪魔になることがなく、かつ小さいスペースで設置可能となる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、
図1図5は、本発明の実施例を示し、図1は本実施例の平面図、図2は可動床を下げた状態の側面図、図3は車両載置用可動床と連結材の関係を示す正面図、図4図5は本発明の他の実施例の平面図である。
【0013】本実施例の立体駐車装置は、二段式の駐車装置であって、概略すると、車両載置用可動床1と、支柱2と、連結材3、および可動床駆動部4の三つの部分よりなり、車両載置用可動床1の重心位置Gと支柱2を、連結材3で連結して、支柱2に車両載置用可動床1を水平状態に片持保持し、可動床駆動部4を介して上下動させ得るように構成されている。
【0014】車両載置用可動床1は、車両の車輪を載せる二条の車輪載置台5,5と、該車輪載置台5,5を連結する前側連結枠6a、後側連結枠6bと、両連結枠6a,6bを中央で連結する連結杆6cとより構成されている。車輪載置台5,5は、それぞれ枠材5a,5aで形成され、枠材5a,5a上にパンチメタルが配設されると共に、側縁、後縁には、脱輪防止用立ち上がり縁5b,5bが設けられ、また前側には、幅方向がラッパ状に広がりを有する車輪進入路5c,5cが形成れている。なお、該車輪進入路5c,5cには脱輪防止用立ち上がり縁5b,5bは形成されていない。該車輪進入路5c,5cは、三角形状片7,7をボルト締め等によって着脱自在の構成とされている。そして、車両載置用可動床1は、支柱2に連結材3を介して昇降自在に接続されている。
【0015】支柱2は、内部にコンクリートを充填した一本の角形鋼管で形成され、車両載置用可動床1の一方側の側後部で、かつ車両載置用可動床1の重心位置G方向に対して45°の傾きをもって配置されている。換言すれば、支柱2を形成する角形鋼管の角部が車両載置用可動床1の重心位置G方向を向くように立設されている。なお、支柱2は、図示しないが、通常、補強金物等を介して基礎で固定されている。そして、支柱2と車両載置用可動床1の重心位置Gが連結材3で連結・接続されている。
【0016】連結材3は、連結材本体9と支柱被嵌部10とより構成され、連結材本体9の一端が、車両載置用可動床1の重心位置G(本実施例においては、連結杆6cに位置する)に溶接あるいはボルト締め等によって接続され、他端が支柱被嵌部10を介して支柱2に昇降自在に接続れている。支柱被嵌部10は、支柱2の外周を覆う角形鋼管で形成され、各辺にベアリング等より形成されるガイドローラー11が設けられ、ガイドローラー11が、支柱2の外周面に当接し、可動床駆動部4の駆動によって上下動できるように構成され、支柱2の外周面と、支柱被嵌部10の内周面との間には、両者間のクリアランスによる振れを防止するための防振用部材が介在されている。また支柱被嵌部10には、補強枠8が設けられていて、該補強枠8と連結材本体9が連結片8aで連結補強されている。また、連結材3には、支柱2の上部に設けられている可動床駆動部4と連結するためのチェーンブロック12が、フック・フック掛け(図示せず)等を介して接続され、可動床駆動部4の駆動によって、車両載置用可動床1を上下動可能な構成としている。
【0017】可動床駆動部4は、ウィンチ13と巻き上げ用のチェーンブロック12により形成されていて、ウィンチ13を駆動させることにより、チェーンブロック12を介して、車両載置用可動床1を上下動させ得る構成とされ、ウィンチ13は、支柱2の上部の水平部材14にフック等を介して吊り下げられている。チェーンブロック12は、通常、蛇腹状筒体で被覆され、該蛇腹状筒体は、そのピッチがチェーンブロック12の単位ブロックの長さと同一若しくは近似長さのものが用いられている。この構成とすることにより、蛇腹状筒体のチェーンブロック12に対する追随性を良好にしている。
【0018】そして、本実施例の立体駐車装置は、車両載置用可動床1が下動位置(床面)にある場合、車両載置用可動床1に車両を駐車した後、可動床駆動部4のウィンチ13を駆動させると、チェーンブロック12で、連結材4を介して、車両載置用可動床1が保持されながら、車両載置用可動床1が上動し、所定位置に達すると停止すると共に、安全装置が働いて固定される。次に、車両を降ろす場合は、可動床駆動部4のウィンチ13を駆動させ、チェーンブロック12を繰り出して、連結材4を介して下降させることで、車両載置用可動床1を下動させ、車両を可動床1より取り出すことができる。
【0019】ここで、車両載置用可動床1と支柱2を連結する連結材3が、車両載置用可動床1の重心位置Gで保持するようにしているので、車両載置用可動床1が支柱2にバランス良く保持され、上下動するに際し、安定した状態で保持できる。
【0020】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できるものを含む。因みに、前述した実施例においては、支柱2を車両駐車用可動床1の側後部に立設した構成で説明したが、車両駐車用可動床1の側部位置に立設した構成(図4参照)、車両駐車用可動床1の後部位置に立設した構成(図5参照)としてもよいことは当然である。また、二段式駐車装置の他、可動床を複数個設け、三段以上駐車装置としてもよく、更に支柱としては、コンクリート角材、周囲が窪んだ異形断面鋼管(クローバー状等)等を用いた構成としてもよい。また、支柱2を前後方向に二分状態にして、中間空隙部を連結材3の昇降誘導溝として用いた構成としてもよい。そして、この構成の場合は、連結材3が支柱2に強固に保持されるので、一層安定性を向上させることができる。
【0021】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の立体駐車装置によれば、一本の支柱でもって、車両載置用可動床を昇降・保持する駐車装置であって、該車両載置用可動床の重心位置と該支柱を上記連結体で連結しているので、安定した状態で、該車両載置用可動床を支柱に沿って上下動でき、また該支柱を任意の位置に立設することができるという効果を有する。
【0022】従って、本発明によれば、駐車する際に、該支柱が邪魔になることがなく、構成点数が少なく、種々の向きに、かつ小さいスペースで設置可能な立体駐車装置を提供することができる。



【図面の簡単な説明】
図1】本発明の実施例の平面図である。
図2】可動床を下げた状態の側面図である。
図3】車両載置用可動床と連結材の関係を示す正面図である。
図4】本発明の他の実施例の平面図である。
図5】本発明の他の実施例の平面図である。
【符号の説明】
1・・・車両載置用可動床、2・・・支柱、3・・・連結材、4・・・可動床駆動部、5・・・車輪載置台、5a・・・枠材、5b・・・脱輪防止用立ち上がり縁、5c・・・車輪進入路、6a・・・前側連結枠、6b・・・後側連結枠、6c・・・連結杆、7・・・三角形状片、8・・・補強枠、8a・・・連結片、9・・・連結材本体、10・・・支柱被嵌部、11・・・ガイドローラー、12・・・チェーンブロック、13・・・ウィンチ、14・・・水平部材、G・・・重心位置

図1

図2

図3

図4

図5