(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−12221
(43)【公開日】平成8年(1996)1月16日
(54)【発明の名称】エアバッグ式段差解消装置
(51)【国際特許分類第6版】
B66B 9/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】FD
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願平6−173181
(22)【出願日】平成6年(1994)7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文
(57)【要約】
【目的】 ステージの昇降、階段、玄関等の段差を解消して車椅子等の移動体その他搬送体がスムーズに、該段差部分を移動できるエアバッグ式段差解消装置を提供する。
【構成】 載置体とベース体を内方または外方に屈曲自在の蝶番状連結片で直接または間接的に接続し、該載置体とベース体と蝶番状連結片との間に空間部を形成し、エアバッグを配置する。該蝶番状連結片の上側連結片スロープ形成片を設ける。そして、該エアバッグが収縮した際、前記スロープ形成片がスロープを形成する構成よりなる。蝶番状連結片が、載置体とベース体の間の三方向に配置され、スロープ形成片が進入路側に位置する蝶番状連結片の上側連結片に設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 載置体とベース体を内方または外方に屈曲自在の蝶番状連結片で直接または間接的に接続し、該載置体とベース体と蝶番状連結片との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設け、該蝶番状連結片の上側連結片、または前記載置体に、直接または間接的にスロープ形成片を設け、該蝶番状連結片でエアバッグの側部を保持し、該エアバッグの膨縮によって前記載置体を昇降させ、かつ該エアバッグが収縮した際、前記スロープ形成片がスロープを形成することを特徴とするエアバッグ式段差解消装置。
【請求項2】 蝶番状連結片が、載置体とベース体の間の三方向に配置され、スロープ形成片が進入路側に位置する蝶番状連結片の上側連結片に設けられている請求項1に記載のエアバッグ式段差解消装置。
【請求項3】 蝶番状連結片が、内方に屈曲自在の連結片であって、該連結片の上側連結片にスロープ形成片が延設されている請求項1または2に記載のエアバッグ式段差解消装置。
【請求項4】 エアバッグを水平方向または垂直方向に複数個配置してなる請求項1、2、または3の何れかに記載のエアバッグ式段差解消装置。
【請求項5】 載置体とベース体を内方または外方に屈曲自在の蝶番状連結片で直接または間接的に接続し、該載置体とベース体と蝶番状連結片との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設けた昇降体を、垂直方向に複数段配置し、該昇降体の一番上に位置する蝶番状連結片の上側連結片、または前記載置体に、直接または間接的にスロープ形成片を設け、該蝶番状連結片でエアバッグの側部を保持し、該エアバッグの膨縮によって前記載置体を昇降させ、かつ該エアバッグが収縮した際、前記スロープ形成片がスロープを形成することを特徴とするエアバッグ式段差解消装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアバッグ式段差解消装置に係り、より詳細には、例えば、ステージの昇降、階段、玄関等の段差を解消して車椅子等の移動体その他搬送体がスムーズに、該段差部分を移動できるエアバッグ式段差解消装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置と関連する段差解消装置としては、種々の機構のものがあり、次ぎのような機構が知られている。すなわち、
■ 載置体とベース体との間をパンタグラフ状の開脚部材(テーブルリフター)で連結し、該開脚部材の折り畳み、押し広げ操作で、該両者の間隔を調整できるようにしたリンク機構を用いた構成、
■ 載置体とベース体との間に油圧シリンダを設け、該油圧シリンダのロッドの伸縮によって該両者の間隔を調整できるようにした構成、
■ 載置体とベース体との間をボールネジで接続し、該ボールネジを作動させて、該両者の間隔を調整できるようにした構成、
等の機構が知られている。
【0003】そして、これらの段差解消装置は、種々の装置に組み込まれ、あるいは単独で各種の荷物の昇降・移動手段として有効活用されている。例えば、劇場のステージの昇降装置の場合は、テーブルリフターを用いた機構が、また建築現場や工場での荷物の搬送装置の場合は、油圧シリンダーを用いた機構のものが多く採用されている。
【0004】しかし、上述した従来の段差解消装置の場合、
■ テーブルリフターを用いた構成にあっては、ステージ、パレット名との載置体の移動停止位置の微調整、制御、メンテナンスが難しく、かつストッパーが必要となる。
■ 油圧シリンダーを用いた構成にあっては、逆止弁、油圧供給機構が必要となり、その構成が複雑となると共に、その制御、メンテナンスが難しい。
■ ボールネジを用いた構成にあっては、該ボールネジ駆動用の動力伝達機構が複雑となり、昇降、移動スビードが遅くなる。
等の課題がある。
【0005】そこで、本発明者は、先に、『ステージやパレット等の載置体とベース体との間を蝶番状連結片で接続し、該載置体とベース体、および蝶番状連結片との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設け、該蝶番状連結片でエアバッグの側部を保持し、該エアバッグの膨縮によって前記載置体を昇降させ得る構成』のエアバッグ式段差解消装置を提案した(特願平5−312501号明細書参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この装置の場合、次のような課題がある。すなわち、
■ 前記エアバッグを収縮させて、前記載置体を下げた状態であっても、該載置体と接地床面との間には段差が残るため、例えば、車椅子に載った人が、そのままの状態で乗り移るのが難しい。
■ また、段差を降りる場合、前記エアバッグを膨らませ、前記載置体を下げた状態で、車椅子に載った人が、該載置体上に載った後、該エアバッグを収縮させることで、該段差の移動するが、該載置体上に載る際に、該載置体から誤って落下する危険性がある。
等の課題が残る。
【0007】そこで、本発明者は、このような観点に立脚し、種々・研究した結果、前記装置にスロープを設けると共に、該スロープを前記蝶番状連結片の作動に合わせて配置できる構成とすることで、前記段差を解消できることを究明した。
【0008】本発明は、以上のような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、その移動位置と移動スピードの調整が簡単に行え、かつその構成が簡単なエアバッグ式段差解消装置を提供することにある。また、本発明の目的は、段差を安全に、かつスムーズに移動できるエアバッグ式段差解消装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成するための手段としての本発明のエアバッグ式段差解消装置は、載置体とベース体を内方または外方に屈曲自在の蝶番状連結片で直接または間接的に接続し、該載置体とベース体と蝶番状連結片との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設け、該蝶番状連結片の上側連結片、または前記載置体に、直接または間接的にスロープ形成片を設け、該蝶番状連結片でエアバッグの側部を保持し、該エアバッグの膨縮によって前記載置体を昇降させ、かつ該エアバッグが収縮した際、前記スロープ形成片がスロープを形成する構成としている。
【0010】また、本発明の請求項2のエアバッグ式段差解消装置は、前記発明において、蝶番状連結片が、載置体とベース体の間の三方向に配置され、スロープ形成片が進入路側に位置する蝶番状連結片の上側連結片に設けた構成としている。更に本発明の請求項3のエアバッグ式段差解消装置は、前記各発明において、蝶番状連結片が、内方に屈曲自在の連結片であって、該連結片の上側連結片にスロープ形成片が延設した構成としている。また、本発明の請求項4のエアバッグ式段差解消装置は、前記各発明において、エアバッグを水平方向または垂直方向に複数個配置してなる構成としている。
【0011】更に、本発明の請求項5のエアバッグ式段差解消装置は、載置体とベース体を内方または外方に屈曲自在の蝶番状連結片で直接または間接的に接続し、該載置体とベース体と蝶番状連結片との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設けた昇降体を、垂直方向に複数段配置し、該昇降体の一番上に位置する蝶番状連結片の上側連結片、または前記載置体に、直接または間接的にスロープ形成片を設け、該蝶番状連結片でエアバッグの側部を保持し、該エアバッグの膨縮によって前記載置体を昇降させ、かつ該エアバッグが収縮した際、前記スロープ形成片がスロープを形成する構成としている。
【0012】
【作用】本発明のエアバッグ式段差解消装置は、所定位置に設置した後、エアバッグ内のエア量を調整して、該エアバッグを膨縮させることで、両板体の段差の解消ができる。すなわち、ステージやパレット等の載置体に車椅子等の移動体その他搬送体を搭載した後、前記エアバッグ内にエアを充填すると、エアバッグ側部の蝶番状連結片でその座屈を防止しながら膨張し、該エアバッグの膨張につれて前記載置体が上昇し、また該エアバッグ内のエアを抜くと、該載置体を下降し、かつ前記蝶番状連結片の上側連結片に設けられたスロープ形成片がスロープを形成する。従って、車椅子等の移動体その他搬送体が、前記載置体上に乗れ、また段差部分を移動できる。
【0013】また、蝶番状連結片が内側方向に屈曲する連結片であって、かつ該連結片の上側連結片にスロープ形成片が延設されている場合は、エアバッグが膨らんだ時には、スロープ形成片がスロープを形成し、また該エアバッグが膨らんだ時には、該スロープ形成片が落下阻止片を形成するように作用する。また、エアバッグが水平方向に複数個配置してある場合は、装置の揺れ等の不安定要因の発生を排除でき、また垂直方向に複数個配置してある場合、あるいは昇降体を複数段重ねた構成の場合は、上下方向のストロークを大きくできるように作用する。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、図1〜図5は、本発明の一実施例を示し、図1はエアバッグが膨張した状態の側面図、図2はエアバッグが収縮した状態の側面図、図3は平面図、図4は背面図、図5はエアバッグの平面図と側面図、図6は蝶番状連結片の他の実施例の側面図、図7〜図9は、本発明の他の実施例の断面図、図10は本発明の他の実施例の平面図、図11〜図12は本発明の他の実施例の断面図である。
【0015】本実施例は、エアバッグ式段差解消装置であって、概略すると、パレット板1とベース板2との間にエアバッグ3を設け、エアバッグ3の側部に蝶番状連結片4を設け、かつ蝶番状連結片4のうちの進入路側の蝶番状連結片4の上側連結片5の上端5aにスロープ形成片6を設け、エアバッグ3の膨縮によって、パレット板1の昇降を行うと共に、該エアバッグ3が収縮した際、スロープ形成片6がスロープを形成する段差解消装置である。
【0016】パレット板1は、搬送体、移動体を載置するためのパレット、すなわち載置体であって、通常、木製、あるいは金属製の平板で形成されている。該載置体は、枠体の上側に着脱自在に配した構成としてもよい。また、ベース板2は、基礎プレートよりなるベース体であって、設置箇所に安定状態で載置できる形態とされている。該ベース体は、床面で形成する場合や、ベース板に代えてベース枠体で形成したものを用いることもある。そして、パッレト板1とベース板2との間にエアバッグ3が取り付けられ、またチェーンやワイヤー等の連結具7で連結されている。この連結具7の長さを調整あるいは適宜長さのものを用いることで任意のレベル調整(間隔調整)を行える。
【0017】エアバッグ3は、合成樹脂製等の密閉状の蛇腹体で形成されていて、上端部がパレット板1の底面、あるいはパレット板1を着脱自在に載置できる枠体がある場合は、該枠体がつくる空間部に配置されている。必要に応じて、固定されている。そして、該蛇腹体は、複数枚積層したガスバリアー製シートを溶着し、かつミシンかけして形成された上下二段構造であって、下段側の筒体にエア充填、排出パイプ8が設けられ、該エア充填、排出パイプ8を通じて筒体内のエア量を調整できる。またエア充填、排出パイプ8は、電磁弁9、ポンプ(またはブロワー)10と接続され、ポンプ10を作動させて、エアをエアバッグ3に充填できる構成とされている。また、エアバッグ3の側部には、内側方向に屈曲する蝶番状連結片4が設けられ、エアバック3の横方向への動きを拘束し、かつ上下方向に水平状態を保持して移動できるようにしている。ここで、ポンプ10の代わりにブロワーを用いる場合は、必要に応じて、電磁弁9を省略することもでき、常時駆動状態としておくことができる。また、空気をブロワーやポンプ10に吸入・排気させる構成としてもよい。なお、本実施例においては、エアバッグ3として、図5に示すように、四層構造よりなる2段式のエアバッグを用いている。すなわち、四層(4枚重ね)のシート3a,3b,3c,3dのうち、シート3a,3bの周囲、シート3c,3dを周囲を熱溶着した後、ミシン縫合し、またシート3bとシート3cの中央部分を開口3gすると共に、補強シート3eによって補強し、かつ開口部3gの周囲を熱溶着した後、ミシン縫合し、また一部にエア充填・排出口8を備え、更に、周囲にベース板2、パレット板1等に保持させるための止め環3fを有する構成のものを用いている。
【0018】蝶番状連結片4は、エアバッグ3の側部三方向に配置され、エアバッグ3を挟持・保持でき、その上側連結片5の上端5aはパレット板1の底面に固定され、下側連結片12の下端12aはベース板2の上面に固定されていて、エアバッグ3の膨縮により、蝶番状に屈曲角度が変化し、エアバック3の横方向への動きを防止あるいは軽減し、常に、パレット板1がベース板2に対して水平に昇降できる構成とされている。ここで、蝶番状連結片4は、内側方向に突出する『く』字状に配置されている。蝶番状連結片4は、板状のものに限られるものでなく、例えば、パイプなどのフレームで枠状に形成され、折り曲げあるいは屈曲自在の構成であればよいことは当然である。
【0019】また、この蝶番状連結片4のうちで、搬送体の進入路に位置する連結片4の上側連結片5の上端5aには、スロープ形成片6が延設されている。すなわち、スロープ形成片6と上側連結片5は、一枚の板体で形成されていて、スロープ形成片6は、『へ』字状に屈曲した形状で、エアバッグ3が収縮してパレット板1が下降した際に、その先端が着地してスロープ13を形成し、またエアバッグ3が膨張してパレット板1が上昇した際に、その先端が起立もしくは傾斜状態となって、搬送体の落下を阻止する阻止片14を構成する。なお、蝶番状連結片4は、図6に示すように、複数の折り曲げ部(屈曲部)を有する構成としてもよい。ところで、本実施例においては、パレット板1とベース板2を蝶番状連結片4で直接、接続した構成としているが、パレット板1を載せる枠体を介して間接的に接続する構成としてもよい。またベース板2は、板体に限られるものでなく、枠体で形成してもよい。
【0020】そして、本実施例のエアバッグ式段差解消装置は、段差を有する箇所にベース板2を設置し、エアバッグ3のエア量を調整することによりパレット板1を昇降させることができる。すなわち、エアバッグ3内のエア量を減らして、エアバッグ3を萎ませると、該エアバッグ3を保持する蝶番状連結片4が、内方向に屈曲し、かつ蝶番状連結片4を形成する上側連結片5の上端5aに延設されているスロープ形成片6の先端が着地して、スロープ13を形成する。そして、該スロープ形成片6を介して搬送体がパレット板1に移動・載置させた後、ポンプ10を作動させて、エアを電磁弁を介してエアバッグ3内に充填すると、エアバッグ3が膨張を開始して、エアバッグ3の側部の蝶番状連結片4によって水平状態が維持されながら上昇させることができ、該エアの充填量に応じた位置まで搬送体を上昇させることができる。そして、該パレット板1が上昇した状態で、蝶番状連結片4は起立状態となると共に、上側連結片5の上端5aに延設されているスロープ形成片6が、起立または傾斜状態となって、搬送体が誤って落下するのを防止するための阻止片14を形成する。
【0021】また、パレット板1とベース板2は、蝶番状連結片4で連結され、かつエアバッグ3は、パレット板1とベース板2と蝶番状連結片4が形成する空間部に設けられ、該エアバッグ3が蝶番状連結片4に挟まれているので、該蝶番状連結片4によって、エアバッグ3の膨縮の際に発生する揺れ、傾斜を防止し、常にベース板2に対して水平状態を維持してパレット板1を昇降させることができる。ところで、パレット板1の上昇高さは、蝶番状連結片4が起立した高さまでで、下降時の高さは、エアバッグ3の収縮時の厚みまたは蝶番状連結片4の折り畳み状態の厚みとなる。従って、蝶番状連結片4の折り畳み状態の厚みと、起立した高さとの差の段差がある段差部分での段差解消が容易に行え、また折り畳んだ状態の厚みは、スロープ13によって解消でき。例えば、駅、家庭内等における階段や段差を、車椅子を使用して上昇・下降する場合についても有効に活用することができることになる。
【0022】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において変形実施できる構成を含む。因に、本実施例の構成を複数段積み重ねることにより、あるいはエアバッグ自体を多段構造とすることにより、より大きな移動間隔を有する段差解消を行うことができる。また、前述した実施例においては、蝶番状連結片をエアバッグの側部三方向に設けた構成で説明したが、エアバッグの平面形状に応じて、それ以上の蝶番状連結片を設けた構成としてもよく、更に、二方向に設けた構成としてもよい。
【0023】また、該蝶番状連結片としては、任意形状(例えば、平面「 状)のものを用いてもよい。また、前述した実施例では、エアバッグを平面八角形状のもので説明したが、他の形状、例えば、三角形状、四角、五角形状等の種々の形状のものを用いることができる。また、スロープ形成片は、蝶番状連結片の上側連結片に延設した一枚の板体で形成した構成でなく、図7に示すように、スロープ形成片6と上側連結片5を別の板体とし、スロープ形成片6を上側連結片5の上端5aに棒体15を介して揺動自在に取り付けた構成としてもよい。この構成の場合は、エアバッグが膨張した際、スロープ形成片6は垂れた状態となる。
【0024】更に、図8、図9、図10に示すように、平行する二枚の板体1,2の間に横方向(水平方向)に複数個のエアバッグ3、蝶番状連結片4を設けた構成としてもよい。すなわち、図8の場合は、左右方向に2個のエアバッグ3を並べると共に、それぞれのエアバッグ3の周囲に蝶番状連結片4を設けた構成よりなる。また図9の場合は、左右方向に2個のエアバッグ3を並べ、外周側に蝶番状連結片4を設けた構成よりなる。図10の場合は、左右方向および前後方向にエアバッグ3を複数個配置した構成よりなる。そして、これらの構成とした場合は、装置の安定性がいっそう向上し、揺れ等の発生を防止できる。
【0025】また、図11、図12に示すように、このエアバッグまたは装置を上下方向に複数段配置した構成としてもよい。すなわち、図11は、エアバッグ3と蝶番状連結片4を垂直方向に重ねた構成の実施例を示している。また、図12は、エアバッグ3を載置体とベース体を内方または外方に屈曲自在の蝶番状連結片4で直接または間接的に接続し、載置体1とベース体2と蝶番状連結片4との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設けた昇降体20を、垂直方向に複数段配置(図面では2段)した構成よりなる。そして、この構成の場合、垂直方向のストロークを大きくとることができるという利点を有する。また、エアバッグ3と蝶番状連結片4を垂直方向に複数段配置した構成としてもよい。そして、図11、図12において、一番上に位置する蝶番状連結片4あるいは載置体1にスロープ形成片が取り付けられる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の請求項1のエアバッグ式段差解消装置によれば、エアバッグ内のエア量を調整して、該エアバッグを膨縮させるようにしているので、複雑なストッパー機構等を必要とすることなく、その移動位置と移動スピードの調整が簡単に行え、かつ油圧等を使用しないので、清潔で安全に間隔調整、段差解消ができ、かつ蝶番状連結片の上側連結片に設けられたスロープ形成片がスロープを形成するので、車椅子等の移動体その他搬送体が、段差部分を容易に移動できる。
【0027】また、本発明の請求項2のエアバッグ式段差解消装置によれば、蝶番状連結片が、三方向に配置されているので、エアバッグで保持される載置体を、水平に保持することができ、またスロープ形成片が、進入路側に位置する蝶番状連結片に設けているので、車椅子等が安全に、かつスムーズに段差間を移動できるという効果を有する。
【0028】また、本発明の請求項3のエアバッグ式段差解消装置によれば、蝶番状連結片が内側方向に屈曲する連結片であって、かつ該連結片の上側連結片にスロープ形成片が設けられているので、エアバッグが膨らんだ時には、スロープ形成片がスロープを形成し、スロープ形成片が上側連結片に延設されているので、該エアバッグが膨らんだ時に、該スロープ形成片が落下阻止片を形成するという効果を有する。
【0029】更に、本発明の請求項4のエアバッグ式段差解消装置によれば、エアバッグが水平方向に複数個配置してあるので、装置全体の構成を組合せによって、間口やステージ等の段差部分の広さに応じて、載置部分を任意の広さにすることができるという効果を有する。またエアバッグを垂直方向に複数個配置した場合には、ステージその他の段差に応じて、任意のストロークとすることが可能で、しかも装置の揺れ等の不安定要因の発生を排除できるという効果を有する。
【0030】更にまた、本発明の請求項5のエアバッグ式段差解消装置によれば、エアバッグと蝶番状連結片を有する昇降体を、垂直方向に複数個配置してあるので、安定状態を保持して上下方向のストロークを大きくできるという効果を有する。
【0031】従って、本発明によれば、車椅子等の移動体その他搬送体が、移動位置と移動スピードの調整が簡単に行え、段差を安全に、かつスムーズに移動できるエアバッグ式段差解消装置を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアバッグが膨張した状態の側面図である。
【図2】エアバッグが収縮した状態の側面図である。
【図3】平面図である。
【図4】背面図である。
【図5】エアバッグの平面図と側面図である。
【図6】蝶番状連結片の他の実施例の概略側面図である。
【図7】スロープ形成片を揺動自在に設けた構成の概略断面図である。
【図8】本発明の他の実施例であって、エアバッグと蝶番状連結片を水平方向に二個並列配置した断面図である。
【図9】本発明の他の実施例であって、エアバッグを水平方向に二個並列配置した断面図である。
【図10】本発明の他の実施例であって、エアバッグを水平方向に四個並列配置した実施例の平面図である。
【図11】本発明の他の実施例であって、エアバッグを垂直方向に二個並列配置した実施例の断面図である。
【図12】本発明の他の実施例であって、エアバッグと蝶番状連結片を有する昇降体を垂直方向に二個並列配置した実施例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・パッレト板(載置体)、2・・・ベース板(ベース体)、3・・・エアバッグ、4・・・蝶番状連結片、5・・・上側連結片、5a・・・上側連結片の上端、6・・・スロープ形成片、7・・・チェーン、8・・・エア充填、排出パイプ、9・・・電磁弁、10・・・ポンプあるいはブロワー(モーター)、12・・・下側連結片、12a・・・下側連結片の下端、13・・・スロープ、14・・・阻止片、20・・・昇降体
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図10】

【図9】

【図11】

【図12】
