(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−12223
(43)【公開日】平成8年(1996)1月16日
(54)【発明の名称】低圧ガス駆動システム
(51)【国際特許分類第6版】
B66B 9/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】FD
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願平6−173183
(22)【出願日】平成6年(1994)7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文
(57)【要約】
【目的】 家屋、工場、ビルその他の低層あるいは高層建造物に低圧ガスによって駆動するエレベーター、段差解消装置等の複数台の低圧ガス駆動装置を適宜箇所に設置できる低圧ガス駆動システムを提供する。
【構成】 建造物に、低圧ガス供給源またはエアーポンプ等による低圧ガス供給源に接続され、該低圧ガス供給源から低圧ガスの供給を受ける低圧ガス循環用配管による配管網を設け、該配管網の複数箇所に、該低圧ガスによって駆動する低圧ガス駆動装置の取り付け口を設け、該取り付け口に低圧ガス駆動装置を着脱自在に取り付けてなる構成としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建造物に、低圧ガス供給源またはエアーポンプ等による低圧ガス供給源に接続され、該低圧ガス供給源から低圧ガスの供給を受ける低圧ガス循環用配管による配管網を設け、該配管網の複数箇所に、該低圧ガスによって駆動する低圧ガス駆動装置の取り付け口を設け、該取り付け口に低圧ガス駆動装置を着脱自在に取り付けてなることを特徴とする低圧ガス駆動システム。
【請求項2】 低圧ガス駆動装置が、低圧ガスの充填・排出によって膨縮するエアバッグ駆動部を備えた駆動装置である請求項1に記載の低圧ガス駆動システム。
【請求項3】 低圧ガス循環用配管による配管網が、一個の低圧ガス供給源に接続され、かつ平面または立体的に設けられている請求項1に記載の低圧ガス駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低圧ガス駆動システムに係り、より詳細には、家屋、工場、ビルその他の低層あるいは高層建造物に低圧ガスによって駆動するエレベーター、段差解消装置等の複数台の低圧ガス駆動装置を適宜箇所に設置できると共に、少ない低圧ガス供給源でもって、該低圧ガス駆動装置を駆動できる低圧ガス駆動システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、中高層建築・建造物の他に、低層建築物である、例えば、小規模の住宅においても、身障者、老人等の介護のために簡易な構造のエレベーターやリフト等の移動装置が設置されつつある。そして、この移動装置は、その駆動源として、電気モーターや油圧が用いられ、それぞれの装置が、常時使用できる構成とされている。しかし、この電気モーターを用いる場合、少なくとも三相電源を用いる必要があり、その駆動設備自体が大型化すると共に、騒音の問題がある。また、設置場所によっては、火災等の問題を考慮する必要性より、防爆構造をとる必要があり、更に感電事故のおそれもあるため、その構成が複雑化し易くなるという問題がある。また、油圧を用いる場合は、設置場所が汚れ易くなる。
【0003】そこで、本発明者は、このような点に鑑み、先に、『住宅内に垂直方向のスペースを設け、該スペース内に昇降自在のカゴを設けると共に、該カゴの下部に内部のエア量を調節できるエアバッグを設け、該エアバッグ内のエア量を変化させて、該エアバッグを膨縮させることで、前記カゴを昇降させるエレベーター』(実開平4−31784号公報参照)、『平行する二枚の板体を複数個の蝶番状連結片で接続して、該板体と蝶番状連結片との間に空間部を形成すると共に、該空間部に膨縮自在のエアバッグを設け、該蝶番状連結片でエアバッグの膨縮によって、前記両板体の間隔を変更し得る段差解消装置』(特願平5−312501号明細書参照)を提案している。
【0004】そして、これらの装置の場合、『エアバッグを用い、該バッグ内に供給する低圧ガス供給源等の低圧ガス供給源』を駆動源としているので、該駆動源を小さくできると共に、騒音の発生を少なくできるという利点を有する。
【0005】ところで、建築物においては、玄関、その他の種々の箇所に段差がある。そして、このような箇所は、車椅子で移動することが困難である。従って、各小規模住宅内においても複数の箇所に、前述したような段差解消装置等を設置する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような段差解消装置やエレベーター等のエアバッグを駆動源とする移動装置を複数台設置した場合、次のような問題がある。すなわち、
■ 各移動装置は、独立した低圧ガス供給源等の駆動源が必要であるため、該駆動源を設置するためのスペースが必要となると共に、装置自体が大型化する。
■ 家庭等の小規模住宅においては、この移動装置を使用する人数は限られており、この装置が同時に使用されることがない。
■ 独立した低圧ガス供給源等の駆動源を持ち、装置自体が大型化するので、重量が重くなり、簡単に設置することが難しい。
等の課題がある。
【0007】本発明は、以上のような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、少ない低圧ガス供給源等の低圧ガス供給源でもって、複数台の低圧ガス駆動装置を駆動できると共に、各装置の設置スペースを狭くでき、更にその設置を簡単に行える低圧ガス駆動システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決するための手段としての本発明の請求項1の低圧ガス駆動システムは、建造物に、低圧ガス供給源またはエアーポンプ等による低圧ガス供給源に接続され、該低圧ガス供給源から低圧ガスの供給を受ける低圧ガス循環用配管による配管網を設け、該配管網の複数箇所に、該低圧ガスによって駆動する低圧ガス駆動装置の取り付け口を設け、該取り付け口に低圧ガス駆動装置を着脱自在に取り付けてなる構成としている。
【0009】また、本発明の請求項2の低圧ガス駆動システムは、前記発明において、低圧ガス駆動装置が、低圧ガス供給源の充填・排出によって膨縮するエアバッグ駆動部を備えた駆動装置である構成としている。更に、本発明の請求項3の低圧ガス駆動システムは、前記発明において、低圧ガス循環用配管による配管網が、一個の低圧ガス供給源に接続され、かつ平面または立体的に設けられている構成としている。
【0010】
【作用】本発明の低圧ガス駆動システムは、予め、低圧ガス供給源またはエアーポンプ等からなる低圧ガス供給源から低圧ガスの供給を受ける低圧ガス循環用配管による配管網を設け、かつ該配管網には、低圧ガスによって駆動する低圧ガス駆動装置の取り付け口が設けられているので、該低圧ガス駆動装置を任意に設置できる。また該配管網は、低圧ガス供給源に接続されていて、該低圧ガス供給源からエアー等の低圧ガスの供給を受けるので、各低圧ガス駆動装置に独立した低圧ガス供給源を必要としない。
【0011】また、低圧ガス循環用配管による配管網が、一個の低圧ガス供給源に接続され、かつ平面または立体的に設けられているので、該配管網に取り付けられる複数個の低圧ガス駆動装置の管理を、安全、かつ正確に行えるように作用する。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、図1は、本発明の実施例を示す概略構成図である。そして、本実施例の低圧ガス駆動システムは、概略すると、2階建建築物に設置されていて、低圧ガス供給源1と、低圧ガス供給源1から低圧ガスの供給を受ける低圧ガス供給用配管による配管網2、および低圧ガス駆動装置3より構成されている。
【0013】低圧ガス供給源1は、建築物の外部に設置された一台のブロワー等の低圧ガス供給源よりなり、その低圧ー循環・供給口には、低圧ガス供給用配管による配管網2が接続されている。配管網2は、セントラルヒーティングなどにおける空調用配管と同様に、建築物の壁内部や床等に配設されて多数の配管群を形成し、低圧ガス供給源1によりエアー等の低圧ガスが供給される構成とされている。
【0014】配管網2の低圧ガス供給用配管2aには、低圧ガス駆動装置3が設置される可能性のある箇所に、低圧ガス取り出し口4が設けられている。そして、低圧ガス取り出し口4にはガス取り出し用開閉弁5が設けられ、低圧ガス駆動装置3が、任意に取り付けられる構成とされている。
【0015】低圧ガス駆動装置3は、前述したエアバッグ(種々の低圧ガスの充填によって膨張し、排気によって収縮するバッグの総称)内のガス量を増減させ、該エアバッグを膨縮させることで、駆動させるエレベーターや段差解消装置等の移動装置からなる。そして、これらの装置は、配管網2の低圧ガス供給用配管2aに設けられている低圧ガス取り出し口4に装着することで、所定の低圧ガスを得る。
【0016】本実施例の低圧ガス駆動システムは、建築物内において、低圧ガス供給源1が設置され、低圧ガス供給源1に低圧ガス供給用配管2aからなる配管網2が接続され、かつ配管網2の低圧ガス取り出し口4に低圧ガス駆動装置3が取り付けられている。そして、本実施例の低圧ガス駆動システムにおいては、予め、低圧ガス供給源1を連続運転状態としておき、段差箇所等に設置されている低圧ガス駆動装置3を駆動させる場合は、低圧ガス駆動装置3に設けられているスイッチを操作することにより、配管網2に供給されているガスを、低圧ガス取り出し口4から低圧ガス駆動装置3に導入すると、低圧ガス駆動装置3におけるエアバッグが膨張する。従って、この装置3に載ることによって、段差を移動ができる。また、反対に下降する場合は、該エアバッグ内のガスを排出させて、該エアバッグを萎ませると、装置が下降し、その移動ができる。
【0017】このように、本実施例の低圧ガス駆動システムの場合、予め、一台の低圧ガス供給源1によって、配管網3に予め設けられている複数個の低圧ガス取り出し口4に取り付けられる低圧ガス駆動装置3にガスが供給できる構成とされているため、低圧ガス駆動装置を、任意の低圧ガス取り出し口4に取り付けることができる。また低圧ガス供給源1は、常時、駆動状態とされるため、配管網2の低圧ガス供給用配管2aには、低圧ガス供給源1から供給される、1.1気圧〜2気圧程度の圧力の低圧ガスが供給された状態を保持されていることより、低圧ガス駆動装置3を確実に駆動させることができ、また低圧ガス駆動装置3は、それ自体に独立した低圧ガス供給源を必要としないため、その装置の構成を小さくすることが可能となり、設置スペースを最小限にすることが可能となる。
【0018】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できる構成を含む。因みに、前記低圧ガス供給源としては、ブロワーの他にエアーポンプ等を用いることができる。この構成の場合は、低圧ガス取り出し口に電磁弁を設ける必要がある。また、前述した実施例においては、配管網を立体的(2階建構造)に配した構成で説明したが、平面的に配した構成としてもよいことは当然である。
【0019】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の請求項1の低圧ガス駆動システムによれば、低圧ガス供給源に接続された配管網が、予め、建造物に設置され、該低圧ガス供給源よって、該配管網の複数個の低圧ガス取り出し口に取り付けられる低圧ガス駆動装置に低圧ガスが供給できるので、該低圧ガス駆動装置を、任意の低圧ガス取り出し口4にに取り付けることができ、その取り付け作業を容易に行えるという効果を有する。また、低圧ガスを用いる構成であるため、清潔であると共に、防爆構造の必要性がなく、その構成を単純化でき、火災の危険性をなくすことができ、更に水を使う場所であっても、感電のおそれがないため、あらゆる場所にも設置できるという効果を有する。
【0020】また、低圧ガス駆動装置3は、それ自体に独立した低圧ガス供給源を必要としないため、その装置の構成を小さくすることが可能となり、設置スペースを最小限にすることができという効果を有する。
【0021】また、本発明の請求項2の低圧ガス駆動システムによれば、前述した請求項1の効果に加えて、低圧ガス駆動装置が、低圧ガスの充填・排出によって膨縮するエアバッグ駆動部を備えているので、その装置自体を清潔で、かつ安全に駆動させることかできるという効果を有する。
【0022】更に、本発明の請求項3の低圧ガス駆動システムによれば、低圧ガス循環用配管による配管網が、一個の低圧ガス供給源に接続され、かつ平面または立体的に設けられているので、該配管網に取り付けられる複数個の低圧ガス駆動装置の管理を、安全、かつ正確に行えるという効果を有する。
【0023】従って、本発明によれば、予め、低、中高層建築物に低圧ガスの配管網を配しておくことにより、該建築物でおいて、該配管網の取り出し口に、低圧ガス駆動装置を、簡単な作業でもって安全に取り付けることができる駆動システムを得ることかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・低圧ガス供給源、2・・・配管網、2a・・・低圧ガス供給用配管、3・・・低圧ガス駆動装置、4・・・低圧ガス取り出し口、5・・・ガス取り出し用開閉弁
【図1】
