(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−224226
(43)【公開日】平成8年(1996)9月3日
(54)【発明の名称】手の反応能力測定装置
(51)【国際特許分類第6版】
   A61B  5/11                 
         5/16    300          
【FI】
   A61B  5/10    310 G 7638-2J
         5/16    300 B 7638-2J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】FD
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願平7−59826
(22)【出願日】平成7年(1995)2月23日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文



(57)【要約】
【目的】 被測定者が手を用いて、所定のプログラムに従って、押しボタンを操作することで、該操作時における手(指先や手の平等)の反応能力を測定できる手の反応能力測定装置を提供する。
【構成】 被測定者の手の反応能力を測定するための手の反応能力測定装置であって、複数個の押しボタンと、被測定者に押しボタンを指または手で押すための押し順情報を認識させる押し順情報認識付与手段と、押し順情報に沿った平均的データまたは被測定者が平常時に押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データを記憶する第1記憶手段と、測定時に押し順情報に従って押しボタンを押して得られた測定時データを記憶する第2記憶手段、および測定時データまたは両データの比較情報を表示する表示手段を有する構成よりなる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】 被測定者の手の反応能力を測定するための手の反応能力測定装置であって、複数個の押しボタンと、該被測定者に該押しボタンを指または手で押すための押し順情報を認識させる押し順情報認識付与手段と、該押し順情報に沿った平均的データまたは該被測定者が平常時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データを記憶する第1記憶手段と、該被測定者が測定時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた測定時データを記憶する第2記憶手段、および該測定時データまたは該両データの比較情報を表示する表示手段を有することを特徴とする手の反応能力測定装置。
【請求項2】 前記第1記憶手段の平均時データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データが、該押し順情報に沿い前記押しボタンを正しい押し順で押すのに要する平均的所要時間または被測定者が平常時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した平常時所要時間であり、前記第2記憶手段の測定時データが被測定者が測定時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した測定時所要時間である請求項1に記載の手の反応能力測定装置。
【請求項3】 前記第1記憶手段の平均時データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データが、該押し順情報に沿い前記押しボタンを一定時間で押した際の平均的正解率データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の平常時正解率データであり、前記第2記憶手段の測定時データが、被測定者が測定時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の測定時正解率データである請求項1に記載の手の反応能力測定装置。
【請求項4】 請求項2の第1,第2記憶手段と、請求項3の第1,第2記憶手段の両記憶手段を有し、該両記憶手段を切り替えできる請求項1に記載の手の反応能力測定装置。
【請求項5】 前記押し順情報認識付与手段が、押しボタンを直接または間接的に点灯表示する手段からなる請求項1〜4の何れかに記載の手の反応能力測定装置。
【請求項6】 前記複数個の押しボタンが、左右対称に並列配列されている請求項1〜5の何れかにに記載の手の反応能力測定装置。
【請求項7】 前記押しボタンに数字または記号が直接または間接的に表示されている請求項1〜6の何れかに記載の手の反応能力測定装置。



【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、手の反応能力測定装置に係り、より詳細には、被測定者が手を用いて、所定のプログラムに従って、押しボタンを操作することで、該操作時における手(指先や手の平等)の反応能力を測定し、例えば、該被測定者の疲労度の度合いを測定できる手の反応能力測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被測定者が自らの疲労度の度合いや反応能力を自己診断できる装置としては、視覚検査装置がある。この視覚検査装置は、『発光素子と、該発光素子の点滅を制御する発光素子点滅制御部と、該発光素子点滅制御部を操作して点滅状態を停止・把握する点滅値を表示する点滅値表示部を備えた構成』よりなる。
【0003】そして、これらの視覚検査装置は、発光素子の点滅周波数を変化させながら、点滅する発光素子を見つめることにより、該発光素子の光が、断続(点滅光)として見えるか、連続光として見えるかを検査し、断続光として見えた時、あるいは断続光として見えた時の境界における発光素子の点滅値を確認することで視覚系の疲れ度合いや視覚系の反応能力を自己診断できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、人間の身体において、それぞれの個性により、疲れの状態が、視覚系の疲れとして表れる場合、筋肉系の疲れとして表れる場合、等いろいろと異なりがある。これらの場合、視覚系の疲れ度合いの検査しただけでは、実際の疲れの度合いが測定できないケースが生じる。
【0005】そこで、本発明者は、このような観点に立脚し、前記視覚系の疲れの最終的には『脳の疲れ』であることから、該疲れが生じた場合は、通常、例えば、端末機器の操作においても認められるように、そのキーパンチ操作の入力操作反応が遅くなる等の観点から、手の反応能力を測定することで、その疲労度の度合いを測定し得ることを究明した。
【0006】ところで、近年、キーパンチ操作や精密作業を行う機会が増加している。従って、各個人においても、予め、自分の手の反応能力を自覚し、自己がどの程度の作業が行え、またどの程度の作業を行った場合、該反応能力に低下が生じるかを知っておく必要がある。これによって、自己管理ができると共に、過労等を未然に防止することができる。
【0007】本発明は、以上のような課題に対処して創案したものであって、その目的とする処は、被測定者が手を用いて、所定のプログラムに従って、押しボタンを操作することで、該操作時における手(指先や手の平等)の反応能力を測定できる手の反応能力測定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決するための手段としての本発明の請求項1の手の反応能力測定装置は、被測定者の手の反応能力を測定するための手の反応能力測定装置であって、複数個の押しボタンと、該被測定者に該押しボタンを指または手で押すための押し順情報を認識させる押し順情報認識付与手段と、該押し順情報に沿った平均的データまたは該被測定者が平常時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データを記憶する第1記憶手段と、該被測定者が測定時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた測定時データを記憶する第2記憶手段、および該測定時データまたは該両データの比較情報を表示する表示手段を有する構成としている。
【0009】請求項2の手の反応能力測定装置は、前記請求項1の手の反応能力測定装置において、前記第1記憶手段の平均時データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データが、該押し順情報に沿い前記押しボタンを正しい押し順で押すのに要する平均的所要時間または被測定者が平常時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した平常時所要時間であり、前記第2記憶手段の測定時データが被測定者が測定時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した測定時所要時間である構成としている。
【0010】請求項3の手の反応能力測定装置は、前記請求項1の手の反応能力測定装置において、前記第1記憶手段の平均時データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に従って押しボタンを押して得られた平常時データが、該押し順情報に沿い前記押しボタンを一定時間で押した際の平均的正解率データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の平常時正解率データであり、前記第2記憶手段の測定時データが、被測定者が測定時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の測定時正解率データである構成としている。
【0011】請求項4の手の反応能力測定装置は、前記請求項1の手の反応能力測定装置において、前記請求項2の第1,第2記憶手段と、前記請求項3の第1,第2記憶手段の両記憶手段を有し、該両記憶手段を切り替えできる構成としている。また請求項5の手の反応能力測定装置は、前記請求項1〜3の何れかの装置において、前記押し順情報認識付与手段が、押しボタンを直接または間接的に点灯表示する手段である構成としている。
【0012】請求項6の手の反応能力測定装置は、前記請求項1〜3の何れかの装置において、前記複数個の押しボタンが、左右対称に並列配列されている構成からなる。また請求項7の手の反応能力測定装置は、前記請求項1〜3の何れかの装置において、前記押しボタンに数字または記号が直接または間接的に表示されている構成からなる。
【0013】
【作用】請求項1の手の反応能力測定装置は、押し順情報認識付与手段で認識付与された押し順情報(プログラム)に沿って被測定者が測定時に押しボタンを押すことにより、この結果得られた測定時データが第1記憶手段に記憶され、かつ表示手段によって前記測定時データまたは予め被測定者が平常時に測定を行って得て第2記憶手段に記憶されている平常時データと測定時データの差等の比較情報差が表示される。従って、被測定者が、この測定時における測定時データが予め記録されている平常時データあるいは平均的データに比べて良い場合は、測定時における手の反応能力が優れていることを認識でき、その結果として、この場合は、疲労度が少なく、反対の場合は疲労度が大きいということを自己診断できる。
【0014】請求項2の手の反応能力測定装置は、該押し順情報に沿い前記押しボタンを正しい押し順で押すのに要する平均的所要時間または被測定者が平常時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した平常時所要時間と、測定時データが被測定者が測定時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した測定時所要時間とを比較することで、該測定時所要時間が、前記平均的所要時間または平常時所要時間より長時間となる場合は、測定時における手の反応能力が劣っていることを自己診断でき、また短時間の場合、該反応能力が優れていることを自己診断できる。すなわち、被測定者が自己の手の反応能力を測定しようとする際、前記押し順情報に沿って指示・あるいは指定されている押しボタンを正しく押した場合の測定時所要時間を測定し、該押しボタンを間違って押した場合は、再度始めからやり直し、該押しボタンを最後まで押し順情報にそって正しく押した場合についての測定時所要時間と、予め測定している平均的所要時間または平常時所要時間と、その所要時間同士を比較することで、前記反応能力を測定する。
【0015】請求項3の手の反応能力測定装置は、該押し順情報に従って押しボタンを一定時間で押した際の平均的正解率データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の平常時正解率データと、被測定者が測定時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の測定時正解率データとを比較することで、該測定時正解率データが、前記平均的正解率データまたは平常時正解率データより悪い場合は、測定時における手の反応能力が劣っていることを自己診断でき、また良い場合は、該反応能力が優れていることを自己診断できる。すなわち、押し順情報に沿って押しボタンを押した場合、各測定時によって、該押し順情報にそって一定時間に正しく指定あるいは指示された押しボタンを正しく押せるとは限らない。そして、この予め測定等している一定時間内における平均的正解率データまたは平常時正解率データと、被測定者が測定する測定時の測定時正解率データを比較することで、前記反応能力を測定する。ここで、正解率データには、誤解率データも含む。
【0016】請求項4の手の反応能力測定装置は、前記請求項1の手の反応能力測定装置において、前記請求項2の第1,第2記憶手段と、前記請求項3の第1,第2記憶手段の両記憶手段を有し、該両記憶手段を切り替えできるので、任意に測定方法を選択することができる。請求項5の手の反応能力測定装置は、前記押し順情報認識付与手段が、押しボタンを直接または間接的に点灯表示する手段からなるので、被測定者への押し順情報の認識を容易に行える。
【0017】請求項6の手の反応能力測定装置は、前記サイズの異なる複数個の押しボタンが、左右対称に並列配列されているので、左右の手の疲労度を同時に測定することができる。また請求項7の手の反応能力測定装置は、前記押しボタンに数字または記号が直接または間接的に表示されているので、押し順情報認識付与を視覚的手段に限らず聴覚的手段でもって行うことができ、聴覚系神経の疲労度も自己診断できる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、
図1図3は、本発明の実施例を示し、図1は概略構成を示すブロック図、図2は装置の押しボタンの設けられている部分の平面図、図3図2の断面図である。
【0019】本実施例の手の反応能力測定装置は、平面四角形状の容器で形成されていて、押しボタン部1と、データ記録・比較部2、および表示部3を有している。押しボタン部1は、前記容器の表面に、サイズの異なる3個の押しボタン4,5,6が左右に対称配置されている。押しボタン4は、親指用の押しボタンで、サイズが大きく、押しボタン5は、人指し指または中指用の押しボタンで、該サイズが押しボタン4より若干小さく、また押しボタン6は、薬指または小指用の押しボタンで、該サイズが押しボタン5より更に小さいボタンからなる。
【0020】押しボタン4,5,6は、それぞれ記録・データ比較部2に電気的に接続されている。データ記録・比較部2は、前記容器の内部に設けられていて、被測定者が手の反応能力を測定する際の押しボタンを押すための順番の指示情報、時間等の押し順情報(本明細書において押し順情報という)である所定のプログラムを記録したROMと、被測定者が予め該プログラムに沿って押しボタン4,5,6を押して得た平常時における平常時データを記録する第1RAM、被測定者が、該プログラムに沿って押しボタン4,5,6を押して得た測定時における測定時データを記録する第2RAM、およびこれらの両RAMに記録(記憶)された両データを比較し、両データの差を検出・計測する演算部を有している。ここで、前記平常時データの代わりに、通常の人間の平均的データを記憶しておいてもよい。この場合、前記押し順情報(プログラム)に一体としてROMに記憶させた構成としておくことが好ましい。
【0021】ここで、前記第1RAMに記憶される平常時データは、被測定者が平常時に押し順情報で指示される押しボタン4,5,6を正しい押し順で押すのに要する平常時所要時間の場合と、被測定者が平常時に押し順情報で指示される押しボタン4,5,6を一定時間で押した際の平常時正解率データの2種類のデータがある。そして、第1RAMに記憶される平常時データが、平常時所要時間の場合は、第2RAMに記憶される測定時データも測定時における所要時間となる。また前記第1RAMに記憶される平常時データが、平常時正解率データの場合は、第2RAMに記憶される測定時データも測定時における正解率データとしている。
【0022】データ記録・比較部2で演算し、検出・計測されたデータ差は、容器の押しボタン部1の同じ面に設けられている表示部3に表示される。表示部3は、液晶表示板で形成されていて、前記データ差以外に、各平常時データ、測定時データ、前記プログラム、その他を表示できる。
【0023】そして、本実施例の手の反応能力測定装置は、電源をONにした後、まず前記平常時データ、測定時データとして、所要時間データあるいは正解率データの何れか一方を選択する。すなわち、該平常時データ、測定時データとして、所要時間データを選択した場合は、前記比較情報(データ)が、押し順情報と正しい順で押しボタンを押すのに要にした時間を比較することで、手の反応能力を測定することができる。また前記平常時データ、測定時データとして、正解率データを選択した場合は、一定時間内に、押し間違いが何個あるか等のデータを比較することで、手の反応能力を測定することができる。そして、スタートボタンを押して、表示部3にデータ記録・比較部2のROMに記憶されている押し順情報(プログラム)を表示させ、このプログラムに従って、手の反応能力を測定しようとする被測定者が、該プログラムを視覚的に読み取り、この読み取った押し順情報で指示されている押しボタン4,5,6を指示通りに押す。ここで、前記押し順情報は、表示画面に左から右に、あるいは右から左へと流れるように表示されるようにしている。そして、これを視覚的に読み取ると同時に、被測定者が該当する押しボタン4,5,6を選択し、かつ押すと、該当する信号がデータ記録・比較部2に送られ、第2RAMに記憶される。なお、前記平常時データ、測定時データとして、所要時間データを選択した場合は、被測定者が自己の手の反応能力を測定しようとする際、前記押し順情報に沿って指示・あるいは指定されている押しボタンを間違って押した場合は、再度始めからやり直し、該押しボタンを最後まで押し順情報にそって正しく押した場合についての測定時所要時間を測定する。ここで、押し間違いがあったか否は、データ記録・比較部2での比較によって検出されて、該押し間違いがあると、その旨が表示部3若しくはブザーや音声手段(図示せず)によって被測定者に知らせ、再度、最初から測定を開始するように指示する。また、前記平常時データ、測定時データとして、正解率データを選択した場合は、測定時間をタイマー(図示せず)によって、被測定者に知らせると共に、押しボタン操作を停止させる。
【0024】ところで、被測定者は表示部3に表示されるプログラムに従って対応する押しボタン4,5,6を押していくわけであるが、手の反射能力が劣ってくると、使用する指を間違えたり、また押す押しボタン4,5,6を間違えたり、あるいはその反応時間が遅くなる。従って、このことから被測定者は、現在、どの程度疲れているかを把握することができる。しかし、これらのデータは、その測定時におけるデータであり、該被測定者が平常時においては、どの程度の反射能力を有しているか個性差があり、一概に決められるものでない。そこで、被測定者が、その測定を行う前に、すなわち平常時に、予め、これと同様に操作を行っておいて、その平常時におけるデータをデータ記録・比較部2の第1RAMに記憶させておく。
【0025】そして、前記測定時のデータが第1RAMに記憶されると、このデータが演算部で、第2記憶部に予め記憶されている平常時におけるデータと比較され、その差が演算され、表示部3に表示される。この差が、例えば、+〜0表示(測定時データが予め記録されている平常時データあるいは平均的データに比べて良い場合)の場合は、反応能力に低下がなく、疲労度が少ないということが把握でき、−表示(測定時データが予め記録されている平常時データあるいは平均的データに比べて劣る場合)は、反応能力が劣り、疲労度が大きいということを自己診断できる。特に、特定の押しボタンの押し忘れの有無や回数等についても測定できる。
【0026】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できる構成を含む。因みに、押しボタン部1の各押しボタンにテンキーを兼ねる構成とすることによって、手の反応能力測定の他に、計算能力(疲労度が増すと計算能力が低下する)を測定することで、その疲労度を検出することができる。また、押しボタンにスプリングや弾性ゴム板その他の弾性体を介在させて押圧力を保持させ、この押圧力を検出するセンサーを設けることにより、この押圧力の変化を検出することで、その疲労度の測定ができる。この場合についても、予め、平常時における被測定者の押圧力(各指について)を記憶させておく必要がある。また、前記押し順情報付与手段は、装置内に内蔵する構成でなく、別途、テキスト等によって情報付与する構成としてもよいことは当然である。また、押しボタンには、押しボタン、キー、面スイッチ、接触スイッチ等、接触することで、信号を発する各種スイッチを含む。
【0027】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の請求項1の手の反応能力測定装置によれば、押し順情報(プログラム)に沿って被測定者が測定時に押しボタンを押すことにより、この結果得られた測定時データが第1記録手段に記録され、かつ表示手段によって前記測定時データまたは予め被測定者が平常時に測定を行って得て第2記録手段に記録されている平常時データまたは平均的データと測定時データの比較情報が表示されるので、この測定時における測定時データが予め記録されている平常時データあるいは平均的データに比べて良い場合は、反応能力が劣り、結果として疲労度が少なく、反対の場合は疲労度が大きいということを自己診断できるという効果を有する。
【0028】請求項2の手の反応能力測定装置によれば、請求項1の効果に加えて、押し順情報に沿い前記押しボタンを正しい押し順で押すのに要する平均的所要時間または被測定者が平常時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した平常時所要時間と、測定時データが被測定者が測定時に押し順情報に沿い該押しボタンを正しい押し順で押すのに要した測定時所要時間とを比較することで、該測定時所要時間が、前記平均的所要時間または平常時所要時間より長時間となる場合は、測定時における手の反応能力が劣っていることを自己診断でき、また短時間の場合、該反応能力が優れていることを自己診断できるという効果を有する。
【0029】請求項3の手の反応能力測定装置によれば、請求項1の効果に加えて、押し順情報に従って押しボタンを一定時間で押した際の平均的正解率データまたは被測定者が平常時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の平常時正解率データと、被測定者が測定時に該押し順情報に沿い該押しボタンを一定時間で押した際の測定時正解率データとを比較することで、該測定時正解率データが、前記平均的正解率データまたは平常時正解率データより悪い場合は、測定時における手の反応能力が劣っていることを自己診断でき、また良い場合は、該反応能力が優れていることを自己診断できるという効果を有する。
【0030】請求項4の手の反応能力測定装置によれば、前記請求項2の第1,第2記憶手段と、前記請求項3の第1,第2記憶手段の両記憶手段を有し、該両記憶手段を切り替えできるので、任意に測定方法を選択することができるという効果を有する。
【0031】請求項5の手の反応能力測定装置は、前記押し順情報認識付与手段が、押しボタンを直接または間接的に点灯表示する手段からなるので、被測定者への押し順情報の認識を容易に行えるという効果を有する。
【0032】請求項6の手の反応能力測定装置によれば、複数個の押しボタンが、左右対称に並列配列されているので、左右の手の反応能力を同時に測定することができ、また請求項7の手の反応能力測定装置は、前記押しボタンに数字または記号が直接または間接的に表示されているので、押し順情報認識付与を視覚的手段に限らず聴覚的手段でもって行え、聴覚系神経の疲労度や反応能力も自己診断できるという効果を有する。



【図面の簡単な説明】
図1】本発明の実施例を示す概略構成のブロック図である。
図2】装置の押しボタンの設けられている部分の平面図である。
図3図2の断面図である。
【符号の説明】
1・・・押しボタン部、2・・・データ記録・比較部、3・・・表示部、4,5,6・・・押しボタン部



図1

図2

図3