(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−299312
(43)【公開日】平成8年(1996)11月19日
(54)【発明の名称】視覚検査方法と装置
(51)【国際特許分類第6版】
A61B 5/16 300
【FI】
A61B 5/16 300 B 7638-2J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】FD
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平7−138425
(22)【出願日】平成7年(1995)5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文
(57)【要約】
【目的】 光源からの光を一定周期で滅灯あるいは遮光状態にして、該滅灯あるいは遮光状態を視覚的に認識させ、該光の切れ目(境界値)が正確に測定できる視覚検査方法と装置を提供する。
【構成】 発光素子等からなる光源と、該光源の発光状態を一定周期で滅灯あるいは遮光状態とすると共に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を経時的に変化させる滅灯・遮光時間制御部を有し、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を、検査開始から経時的に除々に短くし、該光源の光の切れ目の状態を認識させる構成よりなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発光素子等からなる光源と、該光源の発光状態を一定周期で滅灯あるいは遮光状態とすると共に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を経時的に変化させる滅灯・遮光時間制御部を有し、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を、検査開始から経時的に除々に短くし、該光源の光の切れ目の状態を認識させることにより視覚検査を行うことを特徴とする視覚検査方法。
【請求項2】 発光素子等からなる光源と、該光源の発光状態を一定周期で滅灯あるいは遮光状態とすると共に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を変えさせる滅灯・遮光時間制御部、および該滅灯・遮光時間制御部で調整された滅灯あるいは遮光時間を直接または間接的に表示する表示手段を有することを特徴とする視覚検査装置。
【請求項3】 滅灯・遮光時間制御部が、検査開始から経時的に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を除々に短くする滅灯・遮光時間制御手段からなる請求項2に記載の視覚検査装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、視覚検査方法と装置に係り、より詳細には、光源からの光を一定周期で滅灯あるいは遮光状態にして、該滅灯あるいは遮光状態を視覚的に認識させることで視覚検査を行う視覚検査方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自己診断等ができ、その操作が簡単な視覚検査装置としては、種々の構成のものが提案されているが、一般的には、『発光素子と、該発光素子の点滅を制御する発光素子点滅制御部と、該発光素子点滅制御部を操作して点滅状態を停止・把握する点滅操作部、および該発光素子の点滅値を表示する点滅値表示部を備えた構成』よりなる(実開昭60−104106号公報、同63−106405号公報参照)。
【0003】そして、これらの視覚検査装置は、発光素子の点滅周波数を変化させながら、点滅する発光素子を見つめることにより、該発光素子の光が、断続光(点滅光)として見えるか、連続光として見えるかを検査し、断続光として見えた時、あるいは反対に連続光として見えた時の境界における該発光素子の点滅値を確認することで、視覚系の疲れ度合いを自己診断できるものである。従って、このような視覚検査器は、簡単な構成でもって、自己診断ができるという利点を有する検査器と言える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した視覚検査装置の場合、『発光素子の点滅周波数を変化させながら、点滅する発光素子を見つめることで、視覚検査を行う構成』であるため、次のような課題がある。
■ 各周期中の発光素子の点灯時間または滅火時間が同じであるため、検査時に、視覚系が疲れ易くなる。
■ また、光の残像状態が発生し易くなる。
■ 従って、発光素子の光が、断続光として見えた時、あるいは反対に連続光として見えた時の境界における該発光素子の点滅値の確認が不正確になり易い。等の課題がある。
【0005】本発明は、上述したような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、光源からの光を一定周期で滅灯あるいは遮光状態にして、該滅灯あるいは遮光状態を視覚的に認識させ、該光の切れ目(境界値)が正確に測定できる視覚検査方法と装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成するための手段としての本発明の請求項1の視覚検査方法は、発光素子等からなる光源と、該光源の発光状態を一定周期で滅灯あるいは遮光状態とすると共に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を経時的に変化させる滅灯・遮光時間制御部を有し、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を、検査開始から経時的に除々に短くし、該光源の光の切れ目の状態を認識させることにより視覚検査を行う構成としている。
【0007】請求項2の視覚検査装置は、発光素子等からなる光源と、該光源の発光状態を一定周期で滅灯あるいは遮光状態とすると共に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を変えさせる滅灯・遮光時間制御部、および該滅灯・遮光時間制御部で調整された滅灯あるいは遮光時間を直接または間接的に表示する表示手段を有する構成としている。また、請求項3の視覚検査装置は、前記請求項2の視覚検査装置において、前記滅灯・遮光時間制御部が、検査開始から経時的に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を除々に短くする滅灯・遮光時間制御手段からなる構成としている。
【0008】
【作用】観者は、光源からの光が、一定周期で、滅灯(遮光)すると、該光を断続光として認識し、また該滅灯(遮光)時間が変化して、該時間を短くなると、最終的には、連続光として認識することになる。ところで、従来の視覚検査方法および装置の場合は、光源からの光の点灯時間または滅灯時間を変化させずに、該光の断続光の周期を変え、該光が、連続光としてしか認識できない状態と、断続光(点滅光)として認識できる状態の境界を測定するので、該連続光として認識する状態になるに従って、視覚系への疲れ状態が強くなって、該境界値の認識が充分に行えない。
【0009】これに対して、本発明の請求項1の視覚検査方法は、前記光源から発される検査光を、一定周期でもって、滅灯(遮光)すると共に、該滅灯(遮光)時間を変え、該検査光の切れ目の状態を認識させることで、前記境界値を測定するので、視覚系への疲れが少なく、正確な視覚測定ができる。また、前記周期中の滅灯あるいは遮光時間を、検査開始から経時的に除々に短くしてなるので、該検査光の切れ目が認識できなくなった時点を測定すればよいことから、その境界値の認識が容易に行え、より正確な測定ができる。
【0010】請求項2の視覚検査装置は、滅灯・遮光時間制御部で、一定周期で滅灯あるいは遮光状態となるように制御されている検査光を、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を変えさせ、該検査光の切れ目の状態を認識させるので、前記境界値の認識が容易になると共に、視覚系の疲れを少なくできることから正確な視覚測定ができ、また該測定結果である前記滅灯・遮光時間制御部で調整された滅灯あるいは遮光時間を直接または間接的に表示するので、測定結果が容易に把握できる。
【0011】請求項3の視覚検査装置は、前記滅灯・遮光時間制御部を、検査開始から経時的に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を除々に短くする滅灯・遮光時間制御手段で形成しているので、視覚検査をするに際しては、該検査光の切れ目が認識できなくなった時点を測定すればよいことから、その境界値の認識が容易に行え、より正確な測定ができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。ここに、図1〜図4は、本発明の一実施例を示し、図1は横断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は概略構成図、図4は光源から発される検査光のタイムチャートである。
【0013】本実施例の視覚検査装置は、概略すると、図1〜図3に示すように、筒状ケース1内に、光源2と、滅灯時間値表示部3と、滅灯時間制御部4、および操作部5が設けられている。そして、筒状ケース1は、円筒状の合成樹脂製、あるいは金属製のケースであって、開口部6が接眼部を形成し、該開口部6の光軸に直交する中間仕切り壁面7に光源2と表示部3が設けられている。また、中間仕切り壁面7の奥側に滅灯時間制御部4と操作部5が設けられ、ケース外面8に操作部5のスイッチ9が設けられている。
【0014】光源2は、発光ダイオード等よりなるLED(発光素子)で形成され、被検者が断続光からなる検査光を目視できる構成とされていて、滅灯時間制御部4によって、一定周期で灯火・滅灯状態となる検査光を表示でき、中間仕切り壁面7の中央部に設けられている。すなわち、接眼部の光軸線上に設けられている。
【0015】滅灯時間値表示部(数字表示部)3は、光源2から発される検査光の滅灯時間値を表示するための表示部で、光源2の周囲に設けられている。該滅灯時間値は、一周期中の滅灯時間、換言すれば、光源2から発される光と光の切れ目の間隔値であって、通常、液晶表示その他LED表示されている。この場合、光源2の表示明るさと、その明るさを区別する必要がある。また必要に応じ、光源2からの発光を停止した時(あるいは消した時)のみ、滅灯時間値表示部3が滅灯時間値を表示するようにしてもよい。
【0016】滅灯時間制御部4は、検査光(光源2)の状態を制御するための一般的な制御部であって、例えば、図3に示すように、発振回路、前置分周器、および主分周器を備えたマイクロコンピュータチップを用い、該発振回路で発振された所定信号を、操作部5での操作に従い、周波数(上下)設定、周波数・周期変換させ、前記光源2の滅灯・点灯させると共に滅灯時間値表示部(数字表示部)3に、その滅灯時間値を数字表示させる構成のものを用いている。しかし、該回路構成は、この構成に限られるものでなく、必要に応じて、適宜変更できることは当然である。
【0017】操作部5は、ケース1の外周に設けられたスイッチ(検査開始スイッチ、滅灯時間を除々に長くして検査するスイッチ、および滅灯時間を除々に短くして検査するスイッチ)9と、このスイッチ操作によって停止信号を出力させ、滅灯時間制御部4の作動を停止させ、該停止した時の滅灯時間値を表示し続け得る構成とされている。ここで、光源2と滅灯時間値表示部3を、筒体ケース1の内部で、同一視野内に設けているのは、光源2の光と滅灯時間値を同時に目視させ、正確な検査を行えるようにしたことによる。また。また、筒体ケース1に収納した構成としたのは、光源2の光が、外部光を遮断し、該外部光による影響を最小限に押さえ、一層正確な視覚系検査ができるようにしたことによる。
【0018】次に、本実施例の視覚検査装置を用いて、その検査方法を説明すると、まず、電源を入れて操作部5のスイッチ9を操作すると、滅灯時間制御部4が作動して光源2から周期が一定で、滅灯時間のみが変化する断続光からなる検査光が発される。この検査光(断続光)は、図4(a)〜(c)のタイムチャートに示すように、その滅灯時間が、検査開始時から経時的に短くなり、最終的には、滅灯時間のない連続光となるように制御されている。通常、検査開始当初は、点灯時間と滅灯時間が同じ断続光からなる検査光が発され(図4a参照)、該滅灯時間が短い断続光となり(図4b参照)、最後に滅灯時間がない連続光となるように制御されている。
【0019】そこで、被検者が、筒状ケース1の開口部6に接眼して、光源2を目視すると、検査開始当初、光源2から発される検査光が、点灯時間と滅灯時間が同じ断続光に見えたのが、該点灯時間に比べて滅灯時間の短い断続光を認識するようになり、最終的に、該断続光が連続光として認識する。この時、操作部5のスイッチ9を操作することにより、その時の滅灯時間値が滅灯時間値表示部3に連続表示され、この滅灯時間値を知ることで、疲労度等の視覚系の自己診断ができる。
【0020】なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本考案の要旨を変更しない範囲内で変形実施できる構成を含む。因みに、上述した実施例においては、光源と滅灯時間値表示部を、筒状ケース内部の仕切り壁の同じ部位に形成した構成で説明したが、例えば、光源は、ケース内部周壁面に形成し、反射鏡等を介して、開口部より目視できる構成としてもよい。また、光源から発される検査光を断続光とするのは、シャッター機構を用いて、該光源の光軸を遮蔽する構成(遮光)としてもよいことは当然である。また、検査光の滅灯あるいは遮光時間の変化は、灯火時間を変える手法で制御する形態としてもよく、更に、必要に応じて、検査開始当初において、連続光として、経時的に滅灯あるいは遮光時間を長くする形態とすることもできる。
【0021】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の請求項1の視覚検査方法によれば、光源から発される検査光を、一定周期でもって、滅灯(遮光)すると共に、該滅灯(遮光)時間を変え、該検査光の切れ目の状態を認識させることで、前記境界値を測定するので、視覚系への疲れが少なく正確な視覚測定ができ、また、前記周期中の滅灯あるいは遮光時間を、検査開始から経時的に除々に短くしてなるので、該検査光の切れ目が認識できなくなった時点を測定すればよいことから、その境界値の認識が容易に行え、より正確な測定ができるという効果を有する。
【0022】請求項2の視覚検査装置によれば、滅灯・遮光時間制御部で、一定周期で滅灯あるいは遮光状態となるように制御されている検査光を、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を変えさせ、該検査光の切れ目の状態を認識させるので、前記境界値の認識が容易になると共に、視覚系の疲れを少なくできることから正確な視覚測定ができ、また該測定結果である前記滅灯・遮光時間制御部で調整された滅灯あるいは遮光時間を直接または間接的に表示するので、測定結果が容易に把握できるという効果を有する。
【0023】請求項3の視覚検査装置によれば、請求項2の視覚検査装置の効果に加えて、前記滅灯・遮光時間制御部を、検査開始から経時的に、該周期中の滅灯あるいは遮光時間を除々に短くする滅灯・遮光時間制御手段で形成しているので、視覚検査をするに際しては、該検査光の切れ目が認識できなくなった時点を測定すればよいことから、その境界値の認識が容易に行え、より正確な測定ができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す横断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】概略構成図である。
【図4】光源から発される検査光のタイムチャートである。
【符号の説明】
1・・・筒状ケース、2・・・光源、3・・・滅灯時間値表示部、4・・・滅灯時間制御部、5・・・操作部、6・・・開口部、7・・・中間仕切り壁面、8・・・ケース外面、9・・・スイッチ
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】
