(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平9−32356
(43)【公開日】平成9年(1997)2月4日
(54)【発明の名称】集水機能を備えたテント
(51)【国際特許分類第6版】
   E04H 15/58                 
   E04D 13/04                 
【FI】
   E04H 15/58        A        
   E04D 13/04        M        
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】FD
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願平7−207611
(22)【出願日】平成7年(1995)7月20日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文



(57)【要約】
【課題】 設置が簡単で、多くの集水がてきるレジャー用、災害時の緊急避難用に適した集水機能を備えたテントを提供する。
【解決手段】 天幕中央部の高さを、天幕周縁部の高さより低く形成すると共に、該天幕中央部に雨水を集水する集水口を設け、該集水口にホースまたはパイプを設けた構成よりなる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】 天幕中央部の高さを、天幕周縁部の高さより低く形成すると共に、該天幕中央部に雨水を集水する集水口を設け、該集水口にホースまたはパイプを設けてなることを特徴とする集水機能を備えたテント。
【請求項2】 前記集水口と前記ホースまたはパイプとの間に、着脱自在の漏斗部、または一体化した漏斗部を設けてなる請求項1に記載の集水機能を備えたテント。



【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集水機能を備えたテントに係り、より詳細には、レジャー用テントあるいは災害時の緊急避難用テントの天幕部分(テントの天井を形成する天井形成シート部分を含む)に雨水を集水できる機能を設けたテントに関する。
【0002】
【従来の技術】各種のテントは、一般的には、その天幕中央部と天幕周縁部を支持棒で支えて45°〜60°の勾配の『山状』に形成した構成としている。このようなテントにおいては、雨天時を考慮して、該天幕周縁部に樋を設け、かつ該樋から雨水を排水できる構成とし、雨水や水滴が、テント内に入り込むのを防止するようにしている(実公平6−18998号、実開平2−68061号公報参照)。
【0003】ところで、テントのうちで、例えば、レジャー用テントあるいは災害時の緊急避難用テントを設ける場合、河川や水道設備の整っている個所に設置することが好ましい。ただ、水道施設のない個所で、テントを設置して、各種行事やキャンプを行ったりする際には、十分な水を確保しておかなければならない。しかし、該水を確保できない場合は、雨水を利用することになる。このような場合、前述したようなテントにあっては、必要に応じて、天幕周縁部に設けた樋を通じて雨水を集水することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したようなテントの場合、次のような課題がある。すなわち、
■ 樋の取り付けに手数を要し、テントの設置作業性が悪い。
■ 集水性を良好にするには、天幕周縁部の全部に樋を設けると共に、これに集水パイプやホースを接続する必要がある。
■ 天幕が、通常、45°〜60°の勾配をもって設置されているので、前記樋で雨水を十分に集水できない。
■ 樋を大きくする必要がある。
等の課題がある。
【0005】本発明は、以上のような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、設置が簡単で、多くの集水がてきるレジャー用、災害時の緊急避難用に適した集水機能を備えたテントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決するための手段としての本発明の請求項1の集水機能を備えたテントは、天幕中央部の高さを、天幕周縁部の高さより低く形成すると共に、該天幕中央部に雨水を集水する集水口を設け、該集水口にホースまたはパイプを設けてなる構成としている。また、請求項2の集水機能を備えたテントは、請求項1のテントにおいて、前記集水口と前記ホースまたはパイプとの間に、着脱自在の漏斗部、または一体化した漏斗部を設けてなる構成としている。
【0007】本発明のテントは、前記天幕周縁部を支持棒、立木等の支持材により保持することで設置すると、天幕部分の重量により、前記天幕中央部が、前記天幕周縁部に対して垂れ下がった状態となって、該天幕中央部の高さが、相対的に、該天幕周縁部の高さより低くなる。ここで、該天幕中央部に形成されている集水口に、直接または漏斗部を介して前記ホースまたはパイプが一体的または着脱自在に取り付けられているので、そのままで、またはこれらを組み立てることにより、使用することができる。そして、雨が降った際、この雨水が天幕全体によって、前記天窓中央部に形成されている集水口を通じて、前記ホースまたはパイプから集水することができる。
【0008】
【発明の効果】そして、本発明の請求項1の集水機能を備えたテントによれば、前記天幕中央部が、天幕周縁部に対して垂れ下がった状態となると共に、天幕により集水面積を拡げることができるので、該天幕に降った雨水を、該天幕中央部の集水口を通じてホースまたはパイプから集水することができ、また天幕全体が樋の作用をするので、天幕に降った雨水が、溢れ落ちることがなく、多くの集水量を得ることができるという効果を有する。
【0009】また、請求項2の集水機能を備えたテントによれば、前記集水口と前記ホースまたはパイプとの間に、着脱自在の漏斗部、または一体化した漏斗部を有しているので、集水をスムーズに行うことができるという効果を有する。また該ホースまたはパイプ、漏斗部を着脱自在の構成とした場合は、該テントの設置および収納を簡単にできるという効果を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した最良の実施形態について説明する。ここに、
図1図3は、本発明の実施形態を示し、図1は斜視図、図2は断面図、図3は収納時に折り畳んだ状態の斜視図である。
【0011】本実施形態のテントは、図1図2に示すように、天幕部1と支持棒2、および集水部3からなる。天幕1は、その天幕周縁部4に支持棒2の先端を固定する支持棒取付部5,5を所定間隔で有し、天幕中央部6に集水部3の集水口7を有する。ここで、天幕1は、一般的に使用されている防水処理の施された帆布、あるいは合成樹脂シート等を使用することができる。また、天幕1の周縁には、雨水がテント内側に入り込むのを防止するための縁材15を備えている。
【0012】支持棒2は、金属製パイプで形成されていて、支持棒取付部5,5に対応する個数有する。ここで、支持棒2としては、通常の金属製や木製等の支柱の他に、電柱や、図5に示すような立木13を利用することもできる。このような立木や電柱等の立設体を利用する場合は、バンド14を用いて結びつけることが好ましい。そして、この支持棒2によって、天幕1を組み立てると、天幕中央部6は、支持棒2によって保持されない状態となるため、この天幕中央部6が、天幕周縁部4に対して垂れ下がった状態、換言すれば、天幕中央部6の高さh1 が、天幕周縁部4の高さh2 より低い状態となる。
【0013】集水部3は、天幕中央部6の集水口7と、この集水口7に着脱自在に取り付けた漏斗8、およびこの漏斗8に取り付けたホースまたはパイプ9を有する。集水口7は、天幕1を設置(支持棒2を介して張設)した際、最も垂れ下がった位置となる天幕中央部6に開口し、この開口に下向きの筒部7aを備えている。この筒部7aは、漏斗8を密着した状態で、挿入できる大きさとしている。この漏斗8は、ある程度の強度を有し、例えば、塩化ビニール等の合成樹脂製のものを用いている。また、漏斗8の下端は、ホースまたはパイプ9を装着・係合する鋸歯状のリブ10を備え、この漏斗8のリブ10の上からホースまたはパイプ9を嵌め込むことができる。
【0014】本実施形態のテントは、天幕1の天幕中央部6に形成されている集水口7に漏斗8を挿入した後、天幕周縁部4の支持棒取付部5,5に、支持棒2を取り付け、天幕1を組み立てると、天幕1の全重量によって、天幕中央部6が、天幕周縁部4に対して垂れ下がった状態となって、天幕中央部6の高さh1 が、天幕周縁部4の高さh2 より低なる。そして、集水口7に取り付けている漏斗8の下端のリブ10にホースまたはパイプ9を接続することで組み立て、設置することができる。そして、雨が降った際、天幕中央部6が、天幕周縁部4に対して垂れ下がった状態となっているので、天幕1全体が大きな漏斗を形成し、天幕全体に降った雨水を、天幕中央部6の集水口7に誘導でき、この集水口7に取り付けたホースまたはパイプから任意のタンク等に集水することができる。
【0015】従って、簡単な構成でもって、本実施形態のテントによれば、水道設備のない個所での設営であっても、雨水を有利に集水することが可能となる。また、本実施形態のテントは、収納する場合、支持棒、漏斗とホース(パイプ)を分離した後、図3に示すように、天幕を、2つ折りにすることで、簡単に収納できる。また、本実施形態のテントによれば、例えば、緊急時等において、周囲の立木、電柱等を支持棒として用い、これに結びつけることで、設置ができる。
【0016】なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できる構成を含む。因みに、前述した実施形態によれば、漏斗部、ホース(パイプ)を着脱自在の構成で説明したが、これらを集水口に、予め、図4に示すように、溶着あるいは接着(各種の接着剤により)して接合部11を介して一体化した構成としてもよい。この構成の場合、前記ホースとしては、偏平状のホースを用いることが好ましく、その収納等、取り扱いが簡単となる。



【図面の簡単な説明】
図1】本発明の実施形態の斜視図である。
図2図1の断面図である。
図3】収納時に折り畳んだ状態の斜視図である。
図4】テントとホースを一体化した場合の概略説明図である。
図5】立木を利用した場合の斜視図である。
【符号の説明】
1・・・天幕、2・・・支持棒、3・・・集水部、4・・・天幕周縁部、5・・・支持棒取付部、6・・・天幕中央部、7・・・集水口、8・・・漏斗、9・・・ホースまたはパイプ、10・・・鋸歯状のリブ

図3

図1

図2

図4

図5