(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平11−140949
(43)【公開日】平成11年(1999)5月25日
(54)【発明の名称】収納式便器の構造
(51)【国際特許分類第6版】
   E03D 13/00                 
        11/00                 
【FI】
   E03D 13/00                 
        11/00        A        
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】FD
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平9−325230
(22)【出願日】平成9年(1997)11月11日
(71)【出願人】
【識別番号】591222407
【氏名又は名称】株式会社松屋総合研究所
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号
(72)【発明者】
【氏名】松塚 展門
【住所又は居所】山口県岩国市室の木町1丁目7番45号 株式会社松屋総合研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 博文



(57)【要約】
【課題】 狭い空間であっても簡易に設置でき、その操作性が良好な収納式便器の構造を提供することにある。また、小便の跳ね返りを少なくできる収納式小便器の構造、小便器の高さを、小便器の利用者に応じて、調整できる収納式小便器の構造を提供する。
【解決手段】 扉を備えた所定の空間内に小便器を設けた収納式便器の構造であって、該小便器本体と、該小便器本体を収納する空間、および該扉を開けた際、該小便器本体の小便流路上流側を傾けて該空間外に位置させ、また該扉を閉じた際、該小便器本体を元の位置に復帰して該空間内に収納させる手段を有する。




【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉を備えた所定の空間内に小便器を設けた収納式便器の構造であって、該小便器本体と、該小便器本体を収納する空間、および該扉を開けた際、該小便器本体の小便流路上流側を傾けて該空間外に位置させ、また該扉を閉じた際、該小便器本体を元の位置に復帰して該空間内に収納させる手段を有することを特徴とする収納式便器の構造。
【請求項2】 前記扉が、前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けてある請求項1に記載の収納式便器の構造。
【請求項3】 前記小便器本体が、筒状体あるいは樋状体からなる請求項1または2に記載の収納式便器の構造。
【請求項4】 前記小便器本体が、前記扉の内壁部に設けてあり、該扉の開閉角度に応じて該便器本体の傾き角度が変化する請求項1〜3のいずれかに記載の収納式便器の構造。
【請求項5】 前記小便器本体が、小便流路上流側が小便流路下流側に比べて大径の筒状体あるいは樋状体からなる請求項1〜4のいずれかに記載の収納式便器の構造。
【請求項6】 前記小便器本体の小便流路上流側の開口近傍に洗浄用給水部を有する請求項1〜5のいずれかに記載の収納式便器の構造。
【請求項7】 扉を備えた所定の空間内に便器を設けた収納式便器の構造であって、該便器本体と、該便器本体を収納する空間、および前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けられている扉を有し、前記便器本体が該扉の内壁部に固定され、該便器本体が、該扉を開いた際、該空間外に位置し、該扉を閉じた際、該空間内に収納されることを特徴とする収納式便器の構造。
【請求項8】 前記便器本体が、筒状体からなる小便器本体である請求項7に記載の収納式便器の構造。
【請求項9】 前記便器本体が、小便流路上流側が小便流路下流側に比べて大径の筒状体からなる請求項8に記載の収納式便器の構造。



【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、収納式便器の構造に係り、より詳細には、狭い空間に簡易に設置できる収納式便器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】便器は、通常、収納空間に固定状態に設置した構成からなる。該収納空間としては、便所としての特定の空間、あるいは簡易便所のように、輸送可能で、仮設便所として設置できる形態のものが多くある。また、近年では、大便器と一体構造とした小便器が一般的であり、狭い空間に設置できるようにユニット化したものが主流で、これらの便器は、いずれも該空間に、予め所定の位置に、また所定の高さに設定・設置された構造からなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したような従来の便器の場合、所定の空間に固定状態で設置される構成であるため、次のような課題がある。すなわち、
■ 便器を設置するためには、広い空間が必要となる。
■ 利用者の年齢、背丈に応じての利用ができない。
■ 複数個の便器を設置することが難しく、また簡易に設置できない。
■ 小便器の場合、利用者と小便器との距離が離れている場合が多いため、小便の跳ね返りが生じて、小便器の周囲を汚したり、ズボンを汚したりする。等の課題がある。
【0004】ところで、近年、便器を押入れ等に設置することも提案されている。このように、特定の個所にのみでなく、種々の個所に設置することが要望されている。例えば、1家庭において、複数個の便所を設け、その移動距離を短くする等が必要となっている。
【0005】本発明は、以上のような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、狭い空間であっても簡易に設置でき、その操作性が良好な収納式便器の構造を提供することにある。また、小便の跳ね返りを少なくできる収納式小便器の構造、小便器の高さを、小便器の利用者に応じて、調整できる収納式小便器の構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決するための手段としての本発明の収納式便器の構造は、扉を備えた所定の空間内に小便器を設けた収納式小便器の構造であって、便器本体と、該便器本体を収納する空間、および該扉を開いた際、該便器本体の小便流路上流側が傾いて前記空間外に位置し、また該扉を閉じた際、該便器本体が元の位置に復帰して該空間内に収納する手段を有することを特徴とする。また、本発明の収納式便器の構造は、前記発明において、■前記扉が、前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けてある構成、■前記便器本体が、小便器本体であって、筒状体あるいは樋状体からなる構成、■前記便器本体が、小便器本体で、扉の内壁部に設けてあり、該扉の開閉角度に応じて該便器本体の傾き角度が変化する構成、■前記便器本体が、小便流路上流側が小便流路下流側に比べて大径の筒状体あるいは樋状体からなる構成、■前記便器本体の小便流路上流側の開口近傍に洗浄用給水部を有する構成、も特徴とする。
【0007】更に、本発明の第2の収納式便器の構造は、扉を備えた所定の空間内に便器を設けた収納式便器の構造であって、該便器本体と、該便器本体を収納する空間、および前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けられている扉を有し、前記便器が該扉の内壁部に固定され、該扉を開いた際、該空間外に位置し、該扉を閉じた際、該空間内に収納されることを特徴とする。また、本発明の収納式便器の構造は、前記発明において、■前記便器本体が、筒状体の小便器本体からなる構成、■前記便器本体が、筒状体の小便器本体で小便流路上流側が小便流路下流側に比べて大径の筒状体からなる構成、も特徴とする。
【0008】ここで、前記扉は、一般的な片開きの煽り扉(水平方向に回動する開閉ドア)に限られるものでなく、また両開きの扉も含む。また、前記空間は、ボックス、押入れ、個室、等の一定の空間を有する室内をいう。本発明の第1の収納式便器の構造は、小便をする場合、前記扉を開けると、便器本体の小便流路上流側の開口が、小便流路下流側に対して、空間前方に傾きくことになる。これにより、該便器本体の小便流路上流側の開口高さが変わり、該小便器の高さを小便をする人の好ましい高さにすることができる。また、本発明の第2の収納式便器の構造は、便器本体が、前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けられた扉の内壁部に固定してあるので、該縦軸を支軸として扉を開閉することで、軽い力でもって、該便器本体の取り出し、収納ができる。
【0009】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明の収納式便器の構造によれば、該扉を開いた際、該便器本体の小便流路上流側が傾いて前記空間外に位置し、また該扉を閉じた際、該便器本体が元の位置に復帰して該空間内に収納する手段を有するので、小便器の高さを小便をする人の好ましい高さにすることができ、子供や大人に関係なく、好ましい状態で小便をすることができる。また、扉を閉じることで、便器本体を空間内に密閉収納できるので、臭気防止ができる。また、前記発明において、前記扉が、前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けてある場合は、前記効果に加えて、軽い力でもって、小便器の取り出し、収納ができることから、その操作性がいっそう良好になる。また、前記便器本体が、扉の内壁部に設けてあり、該扉の開閉角度に応じて該便器本体の傾き角度が変化する構成とした場合は、該扉の開閉角度を調整することで、小便器の高さを小便をする人の好ましい高さにすることができることから、前記効果に加えて、いっそう操作性が良好になる。また、前記便器本体を、筒状体あるいは樋状体とした場合は、小便が飛散して、小便器の周囲を汚すおそれを解消できると共に、使用者の衣服を汚すおそれを解消できる。また、前記便器本体が、小便流路上流側が下流側に比べて大径の筒状便器本体からなる場合は、前記各効果に加えて、小便の飛散を防止できる。更に、前記便器本体の上方側開口の近傍に洗浄用給水部を有する場合は、前記各効果に加えて、小便器、および/または小便使用者の局所を洗浄する際、小便器の周囲に洗浄水が飛散することなく、良好な状態で洗浄ができる。
【0010】更に、本発明の第2の収納式便器の構造によれば、便器本体が前記空間に対して縦軸により水平方向に回動自在に取り付けられた扉の内壁部に取り付けてあるので、該扉を軽い力でもって開閉できることから、便器本体の取り出し、収納の操作性をいっそう良好にできるという効果を有する。また、扉を閉じることで、便器本体を空間内に密閉収納できるので、臭気防止ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した好ましい実施の形態について説明する。ここに、
図1図4は、本発明の実施形態を示し、図1は正面図、図2は側面図、図3は小便器を設置した空間のベース部分の平面図、図4は使用状態の説明図である。
【0012】本実施形態の収納式小便器の構造は、小便器を押入れ等の小空間を便器設置用空間とした場合の実施形態であって、図1図4に示すように、概略すると、便器設置用空間1と、小便器本体2と、小便器本体2の傾斜角度を制御する制御部3、および排水・給水部4の、4つの部分からなる。
【0013】便器設置用空間1は、扉5を備えた小さい空間であって、押入れ、その他、ロッカー等のボックス状空間をいい、空間1の内部に小便器本体2を設置できる空間である。扉5は、前方に開くことができるドア、すなわち空間1に対して縦軸により水平方向に回動自在に開閉できるドアであって、開き角度αは、30°〜90°に設定している。この空間1は、小便器本体2と、その制御部3を設置できる大きさであればよく、高さが、60cm〜120cm程度、幅が20cm〜50cm程度、奥行きが50cm〜70cm程度あればよい。この空間1の底部分には、小便器本体2を保持すると共に、排水・給水部4の一部を設置するためのスペース6を設けている。このスペース6の高さとしては、20cm〜30cm程度あればよい。また、扉5の内側壁面5aには、その下端部に小便器本体2を保持(支持)するための便器支持部8が設けてある。
【0014】小便器本体2は、メガホン等のように、上方側が下方側に比べて大径の筒状体2aからなり、上方側に大きい開口7を有し、下方側が、扉5の下方に取り付けてある便器支持部8に軸支され、この便器支持部8により、空間上下方向に揺動自在に設置してある。すなわち、小便器本体2の開口7の位置を任意に変更できる形態としてある。小便器本体2の開口7の近傍底部9には、排水・給水部4の洗浄用給水部10が設けてあり、小便器本体2の洗浄、あるいは小便器利用者の局所を洗浄できる。また、小便器本体2の下方側には排水・給水部4の排水部11が設けてあり、洗浄用給水部10からの排水、小便を排水できる。この小便器本体2は、その長さが、50cm〜80cm程度の長い筒状体としている。これは、小便器利用者の身長、脚の長さ、小便の跳ね返り、空間1を考慮して得られた数値である。
【0015】制御部3は、小便器本体2の高さ、換言すれば、その傾斜角度を調整するための部分であって、扉5の開閉によって、小便器本体2の高さを変更できる構成を備えている。この制御部3は、小便器本体2を吊り下げる吊り下げ用ワイヤー12と、吊り下げ用ワイヤー12の他端12aを滑車13を介してワイヤー固定具14とからなる。ワイヤー固定具14は、空間1の天井部分15に、また滑車13は、扉5の内側壁面5aの上端側に取り付けてあり、小便器本体2が吊り下げ用ワイヤー12により、滑車13を介して、空間天井に設けてあるワイヤー固定具14と連結してある。
【0016】排水・給水部4は、洗浄用給水部10と排水部11を有している。洗浄用給水部10は、給水ホース10aと、給水操作用バルブ10b、および扉5の開閉と連動する元栓用バルブ10cを備えていて、洗浄等のための水を、小便器本体2に接続している給水ホース10aの小便器開口10dから上方に向かって給水し、小便器等の洗浄が行える。また排水部11は、排水ホース11aを備え、そのホース先端を小便器本体2の下方側に接続していて、小便器本体2を流れる排水を排水ホース11aを通じて排水路あるいは排水タンク(図示せず)に排水できる。ここで、排水ホース11aには、蛇腹状のホースを用いている。これによって、排水トラップを用いなくてもよい。
【0017】本実施形態の収納式小便器の構造は、これを利用するには、通常の便所と同様に、扉を開いて利用することができる。本実施形態の収納式小便器にあっては、扉5を開くと、この扉5の内側に取り付けてあるので、小便器本体2が制御部3によって、その扉5の開き角度に応じて、小便器本体2が、空間1から前方に飛び出した状態で、かつその高さを調整することかできる。従って、小便器利用者の背丈等に応じて、小便の飛散、また該飛散による衣服が汚れるのを防止でき、良好な状態で小便をすることができる。すなわち、小便器本体2の下端側は、便器支持部8に上下方向に揺動自在に保持され、また上端側は、吊り下げ用ワイヤー12で連結されると共に、他端が、滑車13を介してワイヤー固定具14に接続してあるため、扉5が開くことにより、吊り下げ用ワイヤー12の長さが一定であることから、小便器本体2が、便器支持部8による軸支部分を支軸にして、開口7側が上動し、小便器利用者に応じて高さに調整することで、小便をすることができる。
【0018】そして、また元栓用バルブ10cは、扉5の開閉に連動しているため、扉5を開くことにより自動的に開栓し、給水操作用バルブ10bを開放することで、小便器本体2の給水ホース10aの小便器開口10dから、洗浄用水を供給することができ、小便は、この洗浄用水と共に、小便器本体2を流れ、排水ホース11aを通じて排水路(図示せず)等に排水することができる。
【0019】なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、種々、変形した構成とすることができる。因に、前述した実施形態においては、小便器本体を扉の内側壁面に設置した構成で説明したが、扉の開閉に連動するものでなく、小便器本体を吊り下げる吊り下げ用ワイヤーを巻き取り・繰り出し自在のワイヤー巻き取り機構を設け、該ワイヤー巻き取り機構によって、小便器本体の高さを調整できるようにした構成としてもよい。また前記扉としては、前方に開く形態の扉に限るものでなく、引き戸形式の扉であってもよいことは当然である。
【0020】また、上述した実施形態においては、便器として小便器本体の場合で説明したが、大便器、あるいは大便・小便兼用便器として用いる場合は、扉の内壁部に固定した構成とする。そして、この場合の扉は、小便器を収納する空間に対して、縦軸により水平方向に回動自在に取り付けた形態とすることが肝要である。この場合、扉の開閉、前記便器の出し入れに要する力が小さくてよい。また、便器本体の構造は、種々の形態のものを用いることができる。小便器にあっては、筒状体や樋状体からなるものに限られるものでなく、小便流路を備えた形態であればよい。また、大便器、あるいは大便・小便兼用便器としては、通常の便器の構造のものが使用できる。



【図面の簡単な説明】
図1】本発明の実施形態を示す正面図である。
図2図1の側面図である。
図3】小便器を設置した空間のベース部分の平面図である。
図4】使用状態の説明図である。
【符号の説明】
1・・・便器設置用空間、2・・・小便器本体、3・・・制御部、4・・・排水・給水部、5・・・扉、6・・・スペース、7・・・開口、8・・・便器支持部、9・・・開口7の近傍底部、10・・・洗浄用給水部、11・・・排水部、12・・・吊り下げ用ワイヤー、13・・・滑車、14・・・ワイヤー固定具、15・・・天井部分

図1

図2

図3

図4